ペンと乳(50) そして育児は続く

 いつか訪れる「親離れ」まで

 わが子と同じ頃に産まれ、勝手に親しみを抱いていた東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」。1歳半になったので母親と別居させることになったという記事を読み「えー、もうお別れなの」と、目頭が熱くなった。

 そうなのだ。子はいつか親の元を離れていく。野生のパンダは1歳半~2歳で親離れするらしい。では、人間は?私たち親子に残された時間は、あとどれくらいあるんだろう。

 わが子は2歳になった。断乳してからは、一度寝ると目覚めることなく朝まで眠り続けるようになった(夜泣きする日ももちろんあるが)。授乳に頼っていた寝かしつけは、今ではもっぱら添い寝。夫婦そろって先に寝落ちしてしまい、そばでまだ遊んでいる子の不意打ちドロップキックや頭突きを食らう夜も増えた。安眠を妨げられることにも、すっかり慣れてしまったように思う。

 そういえば産前、子どもの服を準備するために一度洗濯した時のこと。干そうと手にした夫が「小さいなぁ~!」と感動していた。私も強く共感した。だが、今では大人の洗濯物に交じって、小さなシャツやズボンが当たり前のように干されていて、あの時感じた気持ちは薄れてしまっている。

 気が付けば子がいる生活は日常になった。玄関には小さな靴、食卓には子ども用イスがあり、小さなコップや食器、絵本やおもちゃなど、子どもの物が家じゅうにあふれている。初めは新鮮だったはずだが、今は何も感じない。そういうものなんだろうか。

 それでも、最近ぐっとおしゃべりが上達し「たあちゃん(母ちゃん)あちょぼ~(遊ぼ)」などと誘ってくる小さな存在に対しては、いまだに「本当に自分が産んだのか?」と不思議に思う日も多いし、悩んだりイライラしたりすることばかりだ。子育てに完成形はないのかもしれない。そうやって試行錯誤しながら、いつか訪れる「親離れ」の日まで、今日も育児は続くのだ。

   =おわり=

2019年7月6日 無断転載禁止