弱気は最大の敵

 JR広島駅南口とプロ野球・広島カープの本拠地マツダスタジアムを結ぶ約800メートルは「カープロード」と呼ばれ、試合日は多くのファンでにぎわう。応援グッズを手に歩いた山陰のカープファンも多いだろう▼その沿道にあるビルの一角に5月末、「炎のストッパー」として人気を集めた元カープ投手で26年前の7月、脳腫瘍のため32歳で亡くなった津田恒実さんを顕彰する記念館がオープンした。現役時代のグラブやユニホームなど約100点を展示。大ファンだったという人気アイドルグループ・キャンディーズのポスターも並び、意外な素顔も垣間見える▼記念館に足を運び目を奪われたのが、津田さんの座右の銘として有名な「弱気は最大の敵」と記されたボール。現役時代は肌身離さず持ち歩き、登板前には必ずそのボールに向かって気合を入れていたという。「プレッシャーに弱いところがあり、自分を鼓舞するため行っていたのでしょう」と長男の大毅さん(30)▼記念館開設は「父のことを思い出してもらうきっかけに」と大毅さんが発案し、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングを実施。目標額400万円に対し、1631人から2600万円が寄せられた▼自らの弱気を封印して強打者に豪速球で真っ向勝負を挑む姿が、今なお多くの人たちの心を打つのだろう。ボールは色あせたが、豪腕の記憶は今も色あせない。(健)

2019年7月8日 無断転載禁止