堪忍袋の緒が切れた

 韓国は人々の気分が法律に勝るお国柄といわれる。その時々の国民感情によって法律やルールが揺さぶられ、立法、行政、司法の三権を超える「情緒主権」のような不文律がある。法を超えて気分次第で国を動かすため「国民情緒法」と呼ばれている▼従軍慰安婦や元徴用工問題などを巡って日本との約束を反故(ほご)にするような韓国政府の対応にその影響は顕著。「過去のことは蒸し返さない」との国家同士の約束事が政権が代わるたびにひっくり返される。その移り気外交に不信感を募らせる日本側の堪忍袋の緒が切れてしまったようだ▼スマートフォンなどに使われる半導体等材料の韓国への輸出規制強化に日本が踏み切った。半導体産業は韓国の経済成長を牽引(けんいん)しているが、その製造工程で「日本でつくれても韓国でつくれない」関係を利用した対抗措置▼輸出手続きを従来より煩雑化して韓国側の調達に遅滞をもたらす意図が透けるが「安全保障を含めた適正な貿易管理」と日本側は対抗措置を否定。輸出しても軍事上の脅威とならない「ホワイト国」から韓国を外すという▼しかし日本経済にとっては輸出のお得意先を自ら減らすことになる。外交のもつれを通商上で応酬しようとすれば、倍返しとなって跳ね返ってくるリスクを伴う。嫌がらせにはさらに嫌がらせをと国民情緒法をいたずらに煽(あお)るかもしれない。互いに利するものは何もない。(前)

2019年7月9日 無断転載禁止