ダイヤの原石を見いだす眼力

 アイドルグループの楽しみ方の一つは、メンバーの中でお気に入りの一人を見つけることだ。写真やポスター、グッズを集め、空想の世界に浸る。ファン同士が集まれば、それぞれのお気に入りのいいところをアピールし、熱弁を振るい、共感し合う。時間が尽きることはない▼もっとも令和の女性アイドルは大所帯が当たり前で、一押しメンバーは勢い細分化される。髪形やメークも似ている人が多くなると、記憶力が怪しくなった昭和育ちとしては、覚えるのはとうに諦めた▼その点、9日に87歳で死去したジャニー喜多川さんが手掛けた男性アイドルは違った。ジャニーズやフォーリーブス、少年隊、光GENJIにSMAP、嵐、そしてKing&Prince…。共通するのは絶対的な美形をそろえた訳ではなく、適度な凸凹感のある個性派集団であることだ▼<もともと特別なオンリーワン>と歌ったSMAPの「世界に一つだけの花」は、実は同じ事務所の仲間たちを指していたとも思えてくる。人数の方も自分のお気に入りを選ぶには程よい。昭和育ちには心地よい塩梅(あんばい)だ。その辺りもジャニーさんは計算していたのだろうか▼思えば半世紀もの長きにわたり、各世代の少女たちに「自分たちだけのアイドル」を常に供給し続けた人はいなかった。それは多数のスター候補生から、ダイヤの原石を見いだす眼力がなせる技だったのだろう。(示)

2019年7月12日 無断転載禁止