「国を守る」備え/自衛隊の役割に関心を

街の元気づくりコーディネーター 久保 里砂子

 私が住んでいる青森県むつ市には、海上自衛隊の大湊地方隊がある。大きな護衛艦が停泊しており、近くで見ることができる。客船や漁船とは異なるその姿は圧巻であり、明らかに、普段の生活とは異次元の備えだと見てとれる。

 7月6日に、大湊地方隊のイベント「マリンフェスタ」が開催された。護衛艦や装備車両を見学したり、管制塔に上ったり、装備を身につけたりすることができる。家族連れも多く、とても身近でにぎやかだ。

 カレー好きの方は「海軍カレー」をご存じだろうか。昔から海上自衛隊では、金曜日の昼食はカレーと決まっている。遠洋航海の船員が、曜日感覚を保つためとも言われている。船の料理長は、それぞれオリジナルのカレーを作る。

 むつ市では、飲食店10店舗で「おおみなと海自カレー」が食べられる。大湊所属の各船の味付けを伝授してもらい、その味を再現して、隊で使われる専用プレートで提供する。地域と自衛隊が一緒に盛り上げようという取り組みだ。地元の人にも、観光客にも人気がある。

 「自衛隊は合憲なのか」という議論があるが、自衛隊の仕事や役割を知らない人も少なくないだろう。近年は、災害派遣活動が多くなり、頼りになると感じている人も増えたと思う。

 私は、2011年から4年間、陸上自衛隊のオピニオンリーダーという役を拝命していた。それまで、自衛隊とは無縁で、恥ずかしながら、あまり関心もなかったのだが、「知らないからこそお願いしたいのです」との言葉で引き受けた。

 就任後、8月に、富士総合火力演習を見学した。陸上自衛隊のフル装備で、実弾を使用した訓練である。見たこともない装甲車や装備、隊員が放つ砲弾は、まるで映画を見ているかのようで、にわかに現実とは思い難かった。そして、次の瞬間に、この弾丸が、目標物を破壊している現実、もしその中に人がいたらひとたまりもないこと、逆に砲撃しているこちらも標的になりうることを理解した。

 私たちが、戦争は絶対にしない、平和な国であると信じて疑わない生活の背後には、一触即発の緊張をはらんだ国際関係があるのも事実。改めて、国を守る備えとは何なのかと考えさせられた。備えていないことはできない。世界の脅威は、私たちの想像をはるかに超えているのではないか。

 今、大湊の護衛艦は、港にいないことが多い。訓練だけではなく、日々、各種任務に就いているという。その働きの一端を聞くと、島国の海の脅威を感じる。

 トランプ大統領が「民間の船は、自国が守るべき」と発言しているというが、中東から日本へ原油の輸送船だけでも、片道1万2千キロの間に50隻超、単純計算では240キロ間隔で走っていることになる。安全な海ばかりではないことは想像に難くない。

 東日本大震災の時、自衛隊が、迅速かつ組織的な初動をとれたのは、08年に、宮城県沖の大地震を想定した大規模な訓練を行っていたからとも言われる。福島事故で、原子炉への放水の任にあたったのは、原子力災害を想定した訓練をしていた自衛隊チームだ。

 私たちは、目の前に見えていないことに対して、関心を向けにくく、理解も乏しい。「国を守る」ことを仕事にしている人々が誇りを持って仕事ができるよう、関心を高めていきたい。機会があれば、出雲駐屯地のイベントなどへも足を運び、各地で、自衛隊の方々との交流の場を増やしてほしい。

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 くぼ・りさこ 青森県弘前市出身。商品科学研究所、セゾン総合研究所研究員を経て商店街活性化、街づくりを実践。2008~11年度、松江市中心市街地活性化協議会タウンマネージャー。合同会社むっつのたね代表社員。青森県むつ市在住。

2019年7月21日 無断転載禁止