日韓ロ定期航路/安定運航へ官民連携を

 境港(境港市)と韓国・東海、ロシア・ウラジオストクを結ぶ日韓ロ定期貨客船の乗客が今月に入って急減している。元徴用工問題などを巡って険悪化する日韓関係の影響で大半を占める韓国人乗客が落ち込んでいる。

 同貨客船航路を巡っては運航会社のDBSクルーズフェリー(本社・韓国)の経営陣交代に伴い、日本側寄港地が境港から変更される懸念も浮上していたが、同社は継続する方針を鳥取県に伝えた。

 しかし航路開設以来10年間にわたって続く赤字が、日韓関係の悪化などでさらに増えるようになれば、中長期的には航路廃止や寄港地が変更される懸念は残る。

 同航路を将来にわたって存続させるために日韓関係の早期修復を図るとともに、観光やビジネスを通じた環日本海交流を促進しなければならない。

 DBS社の株式一部売却に伴って今年6月経営陣が代わり、赤字解消に向けて新社長が航路変更の可能性などに言及していた。2009年に開設された同航路は貨物部門の不振で毎年赤字が続き、昨年の最終赤字は3億8千万円に上っている。

 運航効率を上げるため10年、週2回運航から1回に減便。不足する取り扱い貨物を増やすため、15年から境港に到着後、舞鶴港(京都府)に寄港して集荷しているが、赤字は続いている。

 鳥取県の調べによると、同航路の境港-東海の昨年乗客数は2万7815人で、前年比17%減。貨物取扱量は9%減の6498フレートトン。 今年に入ってからも旅客、貨物とも減少し、特に日本から韓国向け半導体材料の輸出規制が強化された今月から乗客数が急減。昨年は284人だった1便当たりの平均乗客数は今月に入って200人を割り、ピークだった17年の336人から大幅に減った。

 乗客の大半は韓国人で悪化の一途をたどる日韓関係が影を落としているようだ。しかし国家同士のいがみ合いと自治体や民間レベルの交流は切り離して考えるべきであり、韓国と山陰との交流のパイプを細らせてはならない。

 同航路は日韓ロを結ぶ国内唯一の海上ルートで、インバウンド(訪日外国人客)観光や物流の日本側の玄関口として境港が果たしている役割は大きい。

 特に多い年で3万人以上が利用する韓国人観光客が落ち込めば、宿泊や飲食などを通じた山陰の観光産業への打撃は小さくない。同航路を利用した旅客の宿泊などによる経済効果は、昨年だけで5億8千万円に上る。

 鳥取県は同航路の黒字化を支援するため、乗客、貨物の需要増対策の検討に乗り出している。自転車を積めるフェリーの特長を生かしてサイクリングコースが開通することなどを積極的にアピールするとともに、遠隔地からの集荷を促すため、陸上輸送距離に応じて荷主に対する助成金を増やすことも検討している。

 DBS社に対しては鳥取県と周辺自治体が毎年運航経費を助成しており、18年度までの助成累計額は6億3750万円に上る。

 日本海側の貿易港として境港の拠点性を高めるために官民の協調を欠かせない。同社の新経営陣には、地元官民と一体となって中長期的な需要増対策に取り組んでほしい。

2019年7月25日 無断転載禁止