映画監督 永岡俊幸さん 水の都・松江市舞台に映画

「松江の景色を映画で残したい」と制作への意欲を語る永岡俊幸さん=東京都内
 島根県益田市出身で東京都を拠点に活動する新進の映画監督、永岡俊幸さん(30)が今秋、松江市を舞台にした新作映画の撮影に入る。「水の都」の雰囲気に引かれ、主人公の女性がさまざまな人や場所と出会う物語を描く。脚本家や出演者に島根県出身者を加え「見た後に松江や島根を訪れたくなる映画にしたい」と意気込んでいる。

 新作映画は、仕事のストレスに疲れた主人公の20代女性が、祖母が暮らしていた松江市内の家で休暇を過ごす1週間の物語で構成する。市内の散策や日本海へのドライブ、町で暮らす人々の出会いによって心が緩やかに動く瞬間を描く。

 当初は横須賀市などでの撮影を想定したが、4月に松江市を訪れ、大橋川や堀川と、川岸にモダン建築物が今も残る雰囲気に心を引かれた。大橋川改修事業で周辺地区の家屋移転が進んでいる現状も知り「この風景を映画に残しておかないといけない」と決意した。

 子どもの頃、「日本一小さな競馬場」として知られた益田市営競馬が閉鎖。松江工業高等専門学校に通っていた2008年には、島根県西部で唯一の映画館だったデジタルシアター益田中央が幕を下ろした。「何かがなくなるという経験しかしてこなかった」と振り返る故郷への思いが、撮影意欲を駆り立てる。

 子どもの頃から親しんだ映画制作の仕事に就きたいと、松江高専を中退して日本映画学校(神奈川県)に進学。フリーの助監督として活動しながら短編作品を制作し、18年の「オーロラ・グローリー」は各映画祭で入選した。

 今回は企画・脚本を安来市出身の大学院生、木島悠翔さん(24)が手掛け、主人公のいとこ役に益田市出身の俳優、福場俊策さん(34)を迎える。観客に先入観を与えないよう、劇中ではあえて松江の地名や島根にまつわるモチーフ、方言を使わず、客観的なイメージで魅力を映し出す。

 「島根県人にも新たな松江の見せ方ができれば」。情熱を注ぐ映画で故郷の姿を次代へ残す。

2019年7月30日 無断転載禁止

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