米、対中制裁第4弾/真剣に和解を目指せ

 トランプ米大統領は中国からの輸入品3千億ドル(約32兆2千億円)に9月1日から10%の制裁関税を課す意向をツイッターで明らかにした。第4弾の対中制裁で、ほぼ全輸入品が追加関税の対象となる。中国は強く反発しており貿易摩擦の激化は必至だ。

 昨年7月に始まった米中の制裁関税合戦は、両国だけでなく世界各国の実体経済に深刻な打撃を与えてきた。米国の利下げ決定に続く、この発言でニューヨークや東京、上海、香港などの株は軒並み下落し、円高も進んだ。

 トランプ氏と中国の習近平国家主席は世界経済への悪影響がこれ以上広がらないよう危機感を持って対応し、真剣に和解を目指すべきだ。

 米政権は第1弾から第3弾までで、計2500億ドル分に25%の追加関税を課した。5月末、第4弾の対象としてスマートフォンや靴、おもちゃなど約3800品目を発表した。6月末の米中首脳会談で発動の先送りに合意し、7月末に上海で閣僚級協議を再開したが、不調に終わったためトランプ氏が発動を指示したもようだ。

 トランプ氏はツイッターで「3カ月前に中国と貿易協定を結べたと思ったが、中国側が再交渉を決めた」、中国が約束した米農産物の巨額購入も「実施していない」と述べ、中国側の対応に不満を示した。中国の王毅国務委員兼外相は制裁関税について「貿易摩擦を解決する建設的方法ではない」と反発した。

 米国は中国に(1)貿易不均衡の是正(2)知的財産権の保護(3)外国企業に対する技術移転強要の停止-などを要求。中国側はこれに応じて構造改革に取り組む姿勢を示していたが、春から詰めの段階で膠着(こうちゃく)状態が続いている。

 米政権は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を通じた中国側の情報窃取を警戒し、同社の幹部訴追や製品排除を行ってきた。安全保障絡みのファーウェイ問題は貿易摩擦をさらに複雑化した。

 米国の企業や国民も制裁関税でマイナスの影響を受けており、米国ブランドのスマートフォンなどを含む第4弾については、産業界から反対の声が相次いだ。

 中国の1~6月の対米貿易総額は前年同期比14.2%減、4~6月期の国内総生産(GDP)は同6.2%増にとどまり、1992年以降で最低だった。貿易摩擦の影響は大きい。

 麻生太郎財務相は第4弾の制裁関税について「経済に影響が出る」と述べながら、米中対立は経済関係にとどまらないとの見方を示した。

 ポンペオ米国務長官とバンコクで会談した王毅外相は南シナ海が中国の「核心的利益」であることを尊重し、言動を慎むように要求。ポンペオ氏は「中国が振る舞いを改めてくれるよう望む」と述べた。対立は安全保障や政治問題にも及ぶ。

 米中新冷戦といわれる覇権争いを終わらせるのは容易ではない。ただ世界第1、第2の経済大国の米中は、その責任を認識し、まずは公正なルールに沿って経済貿易関係を正常化するべきだろう。

 世界第3の経済大国である日本も米国との貿易交渉や韓国との歴史・経済摩擦を抱えているが、米中の貿易摩擦を早期に解決するよう両国に働き掛けていきたい。

2019年8月4日 無断転載禁止