心配性

 為替介入と聞くと溝口善兵衛・前島根県知事を思い出す。知事就任前の財務官時代、大規模な円売り・ドル買いの為替介入の陣頭指揮を執った。「あの頃は円高が日本の景気の足を引っ張っていた。景気回復のため、円高抑制が至上命題だった」と知事時代に振り返った。円を売ってドルを買えば円相場が安くなり、価格面で輸出が有利になるからだ▼トランプ米政権が、人民元の為替相場を意図的に安値誘導している、として中国を「為替操作国」に認定した。新たなライバルの台頭を蹴落としたいとの深層意識からか、大統領選当時からやるぞやるぞと「口先介入」を繰り返してきた中国への為替操作国認定▼元の対ドル相場が11年ぶりの安値を記録したのがきっかけだが、お互いの輸出入に追加関税をかけ合う貿易戦争に為替問題も加わって対立はエスカレート▼米中2大経済大国が腕まくりして通商バトルを繰り広げる風圧は日本にも及ぶ。米中間の貿易が縮小すれば日本の輸出にも影響する。国内の景気が微妙な段階に差し掛かっているときだけに、けんかのとばっちりが不気味▼米中より一回り小ぶりながら、日本と韓国の貿易の雲行きも怪しくなっている。国同士の約束を守らない韓国に対しては貿易上の便宜を与えない。日本として意地を見せれば実利が逃げかねない。10月には消費増税が待ち構える。景気の心配が心配を呼んでくる。(前)

2019年8月9日 無断転載禁止