猛暑忘れる怪談の世界 「松江ゴーストツアー」人気

語り部の引野律子さん(右端)の話に耳を傾ける参加者=松江市中原町、大雄寺
 松江観光協会が昨年から開催する「松江ゴーストツアー」が人気だ。夏場の夕暮れ時から夜にかけ、文豪・小泉八雲が再話した怪談のゆかりの地を語り部と共に歩いて回る内容で、今年は計6回(定員90人)の予約が早々に埋まった。初回の10日は島根県内外から14人が参加。松江市中心部の約2キロのコースを巡りながら、猛暑をひととき忘れるような怪談の世界に浸った。

 日没10分前の午後6時55分、松江しんじ湖温泉駅(中原町)を出発。語り部を務める引野律子さん(70)=松江市南田町=の案内で、人食い大亀が封じられたという月照寺(外中原町)など四つのスポットを訪ねた。時折、生暖かい風が参加者の肌をなで、木々をざわつかせるなどして、引野さんの語りを引き立てた。

 最後に訪れた大雄寺(中原町)には、死してなおわが子を育てるため、何度も水あめを買い求めた女の怪談が伝わっており、引野さんは「幼い頃に母と別れた八雲のお気に入りの物語」と説明した。

 小泉八雲に関する卒業研究に生かすため、東京都大田区から参加した大学4年の北井勇希さん(21)は「実際に舞台となった場所を歩くことで、本を読むだけでは分からない八雲の姿、怪談の面白さを知ることができた」と満足顔だった。

 ツアーは、NPO法人松江ツーリズム研究会から継承する形で実施。昨年は7、8月に1回ずつ開催し、定員いっぱいの計50人が参加した。今年は10月までの6回に増やした一方、静けさを保つため1回の定員を15人に絞った。

 今年の予約は7月末で埋まり、県外からの参加者が6割を占める。松江観光協会業務・まちあるきグループの小玉佳彦グループリーダー(46)は「松江の夜は静かで怪談を外で聞くのに適している上、小泉八雲ゆかりの地という歴史もあるので、怪談そのものに文化の深みがある。こうした要素が観光客を引きつけるのではないか」と分析した。

2019年8月12日 無断転載禁止

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