戦争体験を後世に

 本紙への寄稿や投稿は電子メールで届く割合が年々増えている。編集して紙面に載せる工程はとてもスムーズになった。そんな中、手書き原稿の重みを実感した。こだま欄の「戦争と平和」特集に寄せられた投稿の数々だ▼戦死した家族など大切な人への思い。出征する兵隊さんを駅で見送ったこと。飢えをしのぎながら続けた竹やり訓練。防空頭巾をかぶって防空壕(ごう)に逃げ込んだこと。戦争を直接知っている70代後半から90代の生々しい体験が綴(つづ)られている▼原稿用紙に文字のくぼみができるほど強くボールペンで書かれたものがあれば、万全ではない体調のためか普段あまり書くことをしないためか、たどたどしい筆跡の鉛筆原稿もある。いずれも「伝えたい」との思いがにじむ。くせ字や旧仮名遣いもあって判読には時間がかかるが、肉筆に向き合うことは投稿者と対話するかのようだ▼メールの投稿も、慣れないパソコンに向かって打ち込んだり家族の誰かに入力してもらったりして出来上がった文章に違いない。戦後74年を迎え、記憶の風化がいわれる中で行動していただいたことがありがたい▼こうした特集がどれくらい続けられるか分からない。既に、戦地に赴いた人の投稿はほとんどなくなっている。先日は介護サービス利用者の戦争体験を聞き書きする取り組みも記事になった。どんな形でもいい。体験談を残しておいてほしいと思う。(輔)

2019年8月22日 無断転載禁止