女子ログ 物忘れしても

 70を過ぎた母がこのところ、しきりと嘆くようになった。物忘れや注意力の衰えが目立つようになったというのだ。よく「あ、忘れちょったわ」と言っては、やりかけていた家事を再開。あるいは昔の話をしていて「あれは誰だったかいなあ」と思い出そうとする。

 母は昔の事は結構覚えている方だ。遠い親せきや私たち子どもの同級生、もちろん自分の幼なじみや父親の会社の同僚たちの名前も次々と出てくる。こちらがもう忘れていたこともたくさん頭の中に入っている。でも、最近は間違えたまま覚えていることが少しずつ増えてきた。

 でもよっぽどの間違いじゃない限り、気が付いても指摘はしない。自分で間違いに気付くことも多いからだ。そんなとき、母はほっとしたように「ああ、そげだった」と言って、安心した表情を見せる。まだまだ頭は衰えてはいないと自信も持つのだろう。

 娘の私だって、よく物忘れをしている。そんな私が言ってもあまり説得力はないかもしれないが、人は誰でも悪気があって忘れる訳ではない。だから忘れていたことが分かったら、みんなでフォローすればいい。それぐらいのゆったりとした気持ちで母の長話に付き合っている。

(松江市・ブランチ)

2019年10月6日 無断転載禁止