転機は食卓にも

 近くのスーパーに出掛けると時々、ステーキ用の輸入牛肉に目が行く。手頃な値段につられて何度か買った。数年前にハワイで食べた分厚いステーキの食感を思い出すからだ。1ポンド、約450グラムあった。食べ応え十分で「肉を食べた」という満足感があった▼おいしいのは和牛だが、値段を考えると、やはり「プチ贅沢」品。普段は二の足を踏む。肉をしっかり食べたいときは豚肉か鶏肉。牛肉なら国産牛の細切れが多い▼日米が貿易協定に調印。米国産牛肉の輸入関税が毎年下がり、2033年度には今の38.5%から9%になる。発効すれば店頭価格も下がっていくだろう。消費者には朗報だが、畜産農家は「外圧」が強まる▼さらに今回、緊急輸入制限の発動基準となる米国向けの低関税枠が約24万トン設けられた。33年度には約29万トンまで広がる。牛肉の場合、米国の参加を前提にした環太平洋連携協定(TPP11)の枠が別に約60万トンある。豪州など関係国と再交渉して枠を修正できなければ両方の輸入枠が毎年拡大。9%になる頃には全体で7割増になる▼一方、コメは今回、無関税枠が見送られた。箸で食べる日本米は短粒種で粘りがある。ただ肉中心の食生活になり、フォークやスプーンの出番が増えれば、パラパラ感の残る中粒種も気にならなくなる。ハワイで食べたピラフは中粒種のカリフォルニア米だった。転機は食卓にも忍び寄る。(己)

2019年11月5日 無断転載禁止