上流の農薬が下流に影響

 コメの害虫・カメムシの防除などに使われるネオニコチノイド系農薬。農薬に含まれるネオニコチノイド成分によって、宍道湖周辺で大量発生していたオオユスリカが激減し、ユスリカの幼虫を餌にしている宍道湖のウナギなども大幅に減った、という研究が発表された▼国立研究開発法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の山室真澄・地質情報研究部門特定フェローらがまとめた。宍道湖に流入している河川周辺の水田で、ネオニコチノイド系農薬が使われ始めた時期とウナギなどが減少した時期が一致し、農薬による餌の減少が原因と考えられるとしている▼ネオニコ系農薬といえば、発がん性やミツバチ大量死との関係が疑われている。今回の研究では、水田から流出したネオニコ系農薬が、川や湖の生態系に与える影響を世界で初めて検証した、という▼研究では、宍道湖のアマサギ(ワカサギ)の激減もネオニコ系農薬の影響だとしている。夏場の水温上昇に耐えられないため、といわれてきたアマサギ激減がネオニコ系農薬によるものなら、資源回復に向けた対策を根本から考え直す必要が出てくる▼水田から各河川、そして宍道湖、中海を経て海につながる。害虫や雑草に収穫を阻害されないための農薬だが、上流での使用が下流の自然環境に大きな影響を与えることを考えていかねばならない。研究内容を聞き、心からそう思う。(富)

2019年11月9日 無断転載禁止