松江城マラソン、希望の糧 病に打ち勝ち、完走目指す

松江城マラソンの完走を目指して練習する永田由加里さん(左)と夫の俊彦さん=広島県東広島市
 大病を患いながらも、12月1日に松江市内である「国宝松江城マラソン」で完走を目指す女性がいる。広島県東広島市のカウンセラー永田由加里さん(53)だ。松江は家族で何度か釣りに訪れた思い出の地。50歳で挑戦を始めたランナーは「いつでも人は変われるんだと伝えたい」と、昨年は出場がかなわなかった大会に備えて練習に励んでいる。

 再婚して東広島市で暮らし始めた2013年春、乳がんと診断された。左乳房を全摘出し、自身の腹直筋で再建。術後は体力低下や体幹バランスの崩れによる膝の痛みに苦しんだ。

 そんな折、通っていた整骨院のトレーナーから勧められ、大の苦手だった運動に挑戦した。当初は1キロの上り坂を走るのに10分かかったが、地道に練習を続け、16年11月には「ひろしま国際平和マラソン」5キロコースで完走を果たした。

 ところが17年10月、練習中に転んで手首と鼻を骨折し、2カ月後に沖縄県でフルマラソンに初挑戦するも20キロ未満でリタイアした。「もうやめたい」と心が折れそうな日々を過ごした。

 子宮筋腫が見つかり、18年11月に2度目の手術をするなど失意の中、希望になったのが松江城マラソンだった。一緒に走り始めた夫の俊彦さん(55)が昨年の第1回大会で初のフルマラソンを完走。夫の笑顔を見て「来年、松江で完走したい」と目標を持った。

 社会人になってから父に連れられ美保関や恵曇などに釣りに訪れ、海を眺めては癒やされたという。「山陰の海が好きだった父も、遠くの空から応援してくれていると思う」と話す。

 今は月100キロを目安に練習を積み、4、10月にハーフを走り自信を付けた。2度目のフルマラソンで目指すは完走だ。「一番苦手なことに挑戦してここまで来た。同じように病気や人生に悩んでいる人たちに諦めない姿を見せたい」と夫婦でスタートラインに立つのを心待ちにしている。

2019年11月27日 無断転載禁止