鳥取の協力隊員・楳川さん 用瀬流しびなの伝統つなぐ

紙粘土を丸めて流しびなの頭を作る楳川友美さん(右)=鳥取市用瀬町用瀬、用瀬2区公民館
 鳥取市用瀬町の伝統行事「もちがせの流しびな」に使うひな人形と桟俵の制作技術習得に、大阪市出身の地域おこし協力隊員・楳川友美さん(39)が励んでいる。地元住民グループ会員が高齢化して活動継続が危ぶまれ、市が後継者育成に乗りだし、隊員を募ったのに応じた。「ゆくゆくは指導できるようになりたい」と意気込む。

 市用瀬町総合支所などによると、流しびなは江戸時代から続き、県無形民俗文化財。男女一組の紙製ひな人形をわらで編んだ桟俵に乗せ、旧暦3月3日に千代川に流し、無病息災を祈る。町の代名詞で観光資源にもなっており、大勢の見物客が詰め掛ける。

 ひな人形と桟俵の制作は住民グループ・常盤流しびなの会(松本五郎会長)が手掛けてきた。1963年ごろ前身の用瀬2区老人クラブ常盤会として活動を始め、その後、会を結成。行事に使う品と流しびなの館(鳥取市用瀬町別府)で扱う土産物を合わせ毎年秋から春にかけ1千個を作る。

 世代交代しながら技術を伝えてきたが、定年延長や再雇用の影響で新入会員が減り現在、会員13人の平均年齢は80歳超。2019年春を最後に解散したいとの話が一時浮上して関係者が危機感を抱き、後継者育成に取り組むことになった。

 10月1日に地域おこし協力隊員として採用された楳川さんは田舎暮らしに憧れて移住先を探す中、用瀬町に着目。編み物が得意で、もの作りに携わりたいとの希望に合ったという。

 紙粘土でひな人形の頭を作る練習から始め、11月から本格的に指導を受けている。編み目がそろい、形が整った桟俵を作るのが難しいという。当面の目標は20年3月26日の行事に出せる出来の品を作ること。楳川さんは「若い担い手を増やすには収入につながることが大事だ」と話し、流しびなを生かした商品開発も視野に入れる。会員の田中満智子さん(80)は「ありがたい。昔から伝わる行事で、何とか続けたい」と楳川さんの成長を見守る。

2019年12月3日 無断転載禁止