電子黒板

 黒板消しは、左右ではなく、上下に動かすのが鉄則とされる。チョークの粉が下に落ちて舞い上がらないだけでなく、お尻の動きが制限されるからだ。左右に消すと、お尻が振れて子どもたちがユーモラスに感じ、注意が散漫になるという。変に刺激しない工夫が現場では行われている▼今後はそんな配慮も必要なさそうだ。松江市内の公立小中学校に来年度、電子黒板が導入される。チョークを使わず、ペンや指で文字や図形を描いてテレビ型ディスプレーに映し出す。拡大や反転は自由自在。併せて児童生徒に配備するタブレットと通信でつなげば、一斉配信も可能となる▼教員が板書し、児童生徒が書き写す手間が省け時間に余裕も生まれる。1台30万円前後という価格を除けば導入しない手はない▼一方で「宝の持ち腐れ」になりはしないか。先行導入校の約2割がモニターの利用のみにとどまり、機能をほぼ活用していないという会計検査院の調査がある。通り一遍の研修で始めるのではなく、情報通信技術(ICT)を使う指導力をおしなべて高めないと、教員個々の技量で教育格差は広がる▼それにしても電子黒板の導入で教室の光景はどう変わるのだろう。相合い傘の落書きから恋愛話が始まり、誰かの足音が聞こえるとさっと消す。定番の甘い思い出は令和の時代は見られないのかもしれない。また一つ、昭和・平成の面影が消えていく。(玉)

2019年12月3日 無断転載禁止