COP25開幕/政策大変革の転機に

 地球温暖化防止のためのパリ協定を着実に実施するためのルールなどを話し合う国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)がマドリードで始まった。

 先進国最大の温室効果ガス排出国である米国のトランプ大統領が離脱を正式に通告する中、残された国々が団結して、温暖化対策に取り組む姿勢を示せるかどうかが問われる重要な会議だ。

 温暖化は多くの科学者の予想を超える速度と規模で進んでいるとされる。気象災害が多発し「気候非常事態」とか「気候の危機」と呼ばれるまでになっている。もはや一刻の猶予もできない。日本も主要先進国の一員として、これまでの不十分な政策を大きく変える転機とするべきだ。

 会議の重要議題の一つは、温室効果ガスの削減量を国際的にやりとりして目標達成に充てる仕組みに関するルールに合意することだ。これは昨年の会議で積み残しになっている。削減量の取引などが規制の抜け穴にならないような明確なルールを定め、完全な形で来年からの本格実施を迎えられるようにするべきだ。

 これに加え、日本の小泉進次郎環境相をはじめ、各国の政策決定者が参加する会議でのより重要なテーマは、温暖化の大きな被害を防ぐためには極めて不十分な現在の取り組みをどう強化するかという問題だ。

 開幕を前に、国連環境計画(UNEP)が重要な報告書を発表した。温暖化防止に必要な行動と、現在の取り組みとの間に大きなギャップがあることを指摘する報告書は「ギャップリポート」と呼ばれる。

 2018年の世界の温室効果ガス排出量は553億トンで過去最高と推定される。排出が今のペースで続けば、今世紀末の気温は産業革命前と比べ最大3.4~3.9度上がり、破壊的な影響が生じる恐れがある。これが報告書の警告だ。

 パリ協定は温暖化の深刻な被害を避けるため産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指す。だが協定に基づく各国の削減目標を達成しても3.2度の上昇になる。温室効果ガスの排出は増加傾向にあり、現実と必要量とのギャップは広がる一方だ。

 各国政府にはCOP25で、対策を強化し、自国の削減目標の上積みを目指すとの政治的意思を表明することで、ギャップを埋める議論を加速させる姿勢が求められる。しかし、この点で日本の現状は落第点に近い。政府は「30年度に13年度比で26%削減」という目標の上積みは困難だとの立場で一致している。

 しかも日本は二酸化炭素の排出量が多く、各国で廃止に向けた動きが急速に進んでいる石炭火力発電への依存も続けており、今後、多くの発電所が運転を始める。石炭火力発電所建設への海外援助も継続する方針で、これには内外から厳しい批判が出ている。

 世界5位の排出国としての責任を果たすためにも、一刻も早くこれらの政策を大転換させることを内外に表明し、他国にも行動を促すべきだ。

 若さやユニークな発言で注目を集める小泉環境相が、その姿勢を示さなかった時に招く世界の落胆と批判、政治的なリスクは極めて大きい。そのことを胸に刻んで会議に臨んでほしい。

2019年12月3日 無断転載禁止