きらめく星 月の首振り運動

異(こと)なる時期に、大田(おおだ)市の三瓶自然館サヒメルの天文台で撮影(さつえい)した満月。矢印の先の円い地形が危難の海
ゆれるように動いて見える

 別の時期に撮影(さつえい)した満月(まんげつ)の写真を並(なら)べてみました。二つの違(ちが)いが分かりますか。

 月の表面の黒っぽい部分は「海」と呼(よ)ばれます。いくつかの海が連なって「もちをつくウサギ」の形になっていますが、そのウサギの耳の横、この写真では月の上の部分のやや左に、「危(き)難(なん)の海」という円(まる)い海があります。二つの月の「危難の海」の位置を比(くら)べると、左の写真では月のへりに近いのに、右の写真ではへりから少し離(はな)れていますね。

 ほかの海などの地形で比べても、位置が少しずれていることが分かるでしょう。つまり、月の向きが変わっているのです。これを月の首(くび)振(ふ)り運動といい、短い言葉では秤(ひょう)動(どう)とも呼(よ)びます。

 そもそも月はいつも同じ面を地球に向けており、私たちは月の裏(うら)側を見ることができません。これは、月が地球を一周する間に、月自体もちょうど一回転するからです。ところが厳密(げんみつ)には、月の回転の速さは一定なのに対し、月が地球の周りを回る速さは多少変化します。このことなどが原(げん)因(いん)となり、月はいつも少しだけですがゆれるように動いて見えるのです。

 月の首振り運動は、肉眼(にくがん)で確(たし)かめるのは難(むずか)しいのですが、双眼鏡(そうがんきょう)で日を置いて注意深く観察すれば気付くことができます。そして、カメラのズームを利用するなどして何日も月を撮影することで、月の表面全体の59パーセントまでもが見られます。

 最後にちょっとした遊びをしましょう。写真の左の月を左目で、右の月を右目で見る立体視(し)をすると、月が球形に飛び出して見えますよ。

◆島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ)

2020年1月8日 無断転載禁止

こども新聞