進撃のヒゲダン

 56年前、東京五輪の柔道競技会場としてオープンした日本武道館は、武道や格闘技の聖地である一方、国内外の有名ミュージシャンのライブ会場としての顔も併せ持つ▼法隆寺の夢殿をイメージした八角形の建物は、音楽演奏を考慮した設計ではない。それでも1966年にザ・ビートルズが最初で最後の来日公演をしたことで、会場としてのステータスは大きくアップ。1万人以上という収容規模も相まって、「武道館公演」は音楽を志す若者にとって大きな夢だ▼メジャーデビューからわずか1年余りで、それを実現したのが、山陰発の4人組バンド「Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)」。「ヒゲダン」の愛称がすっかり全国区になった彼らが、昨夏に行った武道館ライブの模様を、元日付本紙でラッピング紙面にして紹介した▼会場では1階中央寄りに舞台を配置し、舞台後方のスタンド席からも間近で観覧できたという。撮影方法にもよるだろうが、観客とヒゲダンの距離を近く感じる。写真を見ながら、幸福な時間を共有した1万2千人の観客をうらやんだ▼大みそかのNHK紅白歌合戦にも初出場。大ブレークの要因はスマホなどへの音楽配信システムだが、今の音楽業界はソフトの売り上げよりも、コンサート収入の方に伸びしろがある。ライブで本領を発揮する4人の快進撃を2020年も楽しみたい。(示)

2020年1月11日 無断転載禁止