紙上講演 笹川スポーツ財団理事 佐野 慎輔氏

佐野 慎輔氏
祝祭がやってきた~東京五輪・パラリンピックをたのしむために

 成功で日本社会変革

 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が12、13日、浜田市、益田市でそれぞれあった。笹川スポーツ財団(東京都港区)理事の佐野慎輔氏(65)が「祝祭がやってきた~東京五輪・パラリンピックをたのしむために」と題し、1964年以来の開催となる五輪・パラの成功が、障害の有無や度合いにかかわらず暮らしやすい社会の実現につながると強調した。要旨は次の通り。

 五輪、パラリンピックとも2度目の開催で、2度のパラ開催は、東京が初めてだ。どんなモデル大会にできるか、大きな意味を持っている。

 島根県からこれまでに42人の五輪選手がいる。数は多くないが、重要な人物がいる。例えば、東京五輪で水泳競技唯一のメダル、銅メダルだった男子800メートルリレーは第一泳者が浜田市出身の福井誠さん、アンカーが大田市出身の岡部幸明さん。福井さんは日本選手団の旗手を務め、閉会式では各国の選手に肩車され、五輪精神を体現した。

 その五輪の周辺では今、さまざまな問題が起きている。何と言っても、中国で発生し世界で広がった新型コロナウイルスによる肺炎だ。中国選手の受け入れはどうするのか、接触する競技はどうするのか。参加拒否をする選手もいるかもしれない。

 2016年のリオデジャネイロ大会でもジカ熱騒動でも参加を辞退する選手がいたが、教訓は、国が正しく精査した情報を発信する必要があるということ。選手や観客を守る姿勢が問われている。

 前回の東京パラで、日本選手の多くは施設や病院などから参加したが、外国人選手の大半は仕事を持っていた。障害の有無にかかわらず、スポーツを一緒に楽しむ時代になり、東京は成熟した都市開催モデルを示す機会。成功の鍵を握るのがパラ大会だ。日本はすべての人が暮らしやすい共生社会を目指している。成功は日本社会の変革をもたらしてくれるはずだ。

2020年2月14日 無断転載禁止