原発ごみ最終処分場 都会への建設検討を

社会保障経済研究所代表 石川 和男

 原発ごみとは、原子力発電に伴い発生する「高レベル放射性廃棄物」。放射能が高く危険な廃液なので、高温のガラスと溶かし合わせてステンレス製の容器に封じ込める。これが「ガラス固化体」だ。最終処分とは、ガラス固化体を地下深くの安定した岩盤に埋設し、人の手に頼らずそのまま隔離し続けるため、「地層処分」と呼ばれる。世界各国とも、この方法を採用する。

 2017年7月、経済産業省は、地層処分候補地の適地を示すために、日本地図を色分けした「科学的特性マップ」を公開。候補地は、(1)好ましくない特性があると推定される地域(地下深部の長期安定性等の観点)、(2)同(将来の掘削可能性の観点)、(3)好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域、(4)輸送面でも好ましい地域―の、四つに分類した。

 (1)と(2)は候補地になりにくいが、(3)か(4)は候補地になりやすい。ちなみに、電力の最大消費地にして日本の首都である東京都はどうなのかと言うと、なんと、ほぼ全ての市町村(26市、3町、3村)が(3)か(4)に該当し、都民が集中する「23区」の多くも(4)に該当する。

 では実際、東京は候補地になり得るか。政治的には大問題かもしれないが、技術的には問題ない。要は、都民や首長がやる気になるかどうかだ。将来、原発を正しくやめていくには、原発ごみの最終処分地を、現世代の責任で決めておく必要がある。反対を叫ぶだけでは、脱原発は進まない。

 最終処分されるガラス固化体は、爆発性もなく、臨界(放射性物質が核分裂を起こして大きなエネルギーが発生すること)を起こすこともない、安定したものだ。直径40センチ、高さ1.3メートルの筒型で、総重量500キログラム。製造直後は表面の放射線量が高いが、最終処分地に搬入されるのは、十分に放射能レベルが下がってからのことだ。

 最終処分地として必要な規模は、地上では1~2平方キロメートル、地下では深度300メートル以上の所に6~10平方キロメートル程度。これは日本全国の分なので、東京の分に限ればさらに小さい。最終処分施設の建設は技術的に難しくなく、いかなる原子力関連施設よりも安全。公共事業として雇用を生み、地域経済を潤す。本来、自治体が誘致合戦を展開してもおかしくない。実際、フィンランドやスウェーデンでは、自治体間で誘致合戦になった末に最終処分地が決まった。

 都会は今まで、いわば田舎で作られた電気を大量に消費してきた。立地自治体の多くは「既に発電で貢献してきたのだから、廃棄物はよそで!」と語る。こうした複雑な感情の背景には、エネルギー安定供給のありがたみに無関心であり続けてきた消費地側の姿勢がある。

 消費地の責任として、都会の住民は最終処分地の誘致を本気で考えてはどうか。

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 いしかわ・かずお 1965年、福岡県生まれ。89年に通産省(現経産省)に入省。2007年に退官後、内閣官房・国家公務員制度改革推進本部事務局企画官などを歴任。現在は政策アナリストとして、エネルギー政策論などを専門とする。

2020年3月16日 無断転載禁止