関西電力の金品受領報告書/想像を絶する腐敗だ

 関西電力役員らが福井県高浜町の元助役から金品を受領した問題で第三者委員会が報告書を発表した。関電が元助役の要求に応じ、原発関連工事を元助役の関係企業に発注していたと認定した。公益企業にあるまじき想像を絶する腐敗ぶりだ。

 関電は社長が交代し、経済産業省は電気事業法に基づき業務改善命令を出した。だが、これで幕引きにしてはならない。

 昨年10月設置の第三者委は調査期間が限られ、原発マネー還流の全容が解明されたとは言い難い。役員らの責任を徹底追及すべきだ。国会、政府が真相解明に本腰を入れるよう求める。

 関電は金品受領を認める一方で「発注プロセスと発注額は適正だった」と強調していた。しかし第三者委は不正な発注が繰り返されていたと認定、関電の主張は崩れた。

 第三者委によると、元助役の森山栄治氏(故人)から金品を受領したのは75人で、総額は計約3億6千万円相当。報告書に記載された社内の電子メールから、森山氏に特定の企業への発注を要求されて応じたり、発注予定額などの情報を事前に知らせたりしていた実態がよく分かる。

 森山氏側の狙いについて第三者委は「見返りとして自分の関係する企業へ工事の発注を行わせ、経済的利益を得る仕組みの維持が目的」と断じた。

 報告書によると、森山氏は高浜原発3、4号機の増設に尽力。山林を関電に相場より高く買い取ってもらうといった不透明な手法を使い、地元の反対を抑え、1987年の助役退任直後から金品を贈って関電役員らと「共犯関係」を結んだ。

 東京電力福島第1原発事故後、新たな規制が導入され、工事が増えたことで、金品受領が急激に増えたという第三者委の指摘は重大だ。事故再発防止のための費用がまさに食い物にされたのだ。

 第三者委は電気料金を負担するユーザーの目線を考えない組織体質を厳しく批判した。取締役会での論議や問題の公表を避けて封印を図った3首脳を「株主やユーザーに対する背信行為があった」と指弾したのは当然だ。

 関電は、金沢国税局から指摘され、受け取った金品を個人所得として修正申告した役員4人の税負担分を、退任後に補填すると決めていたという。東日本大震災後に大幅赤字となった際の役員報酬カット分の補填も決めていた。約1億1千万円相当の金品を受領した元副社長が実際に両方の補填を受け、報酬月額490万円の嘱託として厚遇されていた。言語道断という他はない。

 役員らを巡り、会社法違反(特別背任、収賄)、背任、所得税法違反の4容疑で市民団体が告発状を大阪地検に提出している。工事情報の事前提供は独禁法違反(不公正な取引方法)との指摘もある。株主代表訴訟の準備も進んでいる。

 電力業界は福島第1原発事故後に義務付けられたテロ対策施設の完成が期限に間に合わず、稼働済みの原発が停止に追い込まれる問題も抱えている。九州電力川内原発1号機がまず停止した。続いて同2号機、関電高浜3、4号機が年内に停止する。原発事業を担う電力会社の体質が問われている。

(了)

2020年3月19日 無断転載禁止