新型コロナで政府対策本部/まん延止める重大局面だ

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した東京都は「爆発的患者急増を防ぐ重大局面」として隣接4県と共に不要不急の外出やイベントの自粛を求めた。政府も「まん延の恐れが高い」との専門家会議の報告を受け、改正特措法に基づく政府対策本部を設置し緊急事態宣言の環境を整えた。状況は予断を許さない。官民を挙げ感染拡大防止に全力を尽くす正念場だ。

 専門家会議は19日公表の見解でショッキングな試算を示した。欧州で起きているような大規模流行が日本の10万人都市で生じ、外出禁止などの強硬措置を取らなかった場合、最終的に8割が感染するという内容だった。今それを防がなければ悲劇につながる。国民の不安をあおらないよう配慮しつつ効果的な対策を見極め実行したい。

 東京都は25、26両日、新たな感染者がそれぞれ一日で41、47人確認されたと発表。直近4日間の感染者は計121人に上る深刻な急増だ。その上で小池百合子都知事は、週末の不要不急の外出自粛と平日の在宅勤務実施を要請した。

 20日からの3連休は、都内でも人出が多く、隣県のさいたま市で大規模格闘技イベントが予定通り行われるなど「気の緩み」と指摘されても仕方がない状況もあった。都が急にアラームを強めたのは連休明けからだ。

 北海道が2月末、早々に「緊急事態」を宣言して抑制に一定の効果を挙げたのに比べ後手に回った感がある。東京五輪を予定通り開けるか否か見極める局面だったことが判断を鈍らせなかったか。

 また北海道は3月3日には入院患者増を想定し「感染症病床」を94床から約200床に拡大したが、都が現状の118床から重症患者用は700床確保を目指すとようやく表明したのは23日だった。反省すべきは反省し、仕切り直してほしい。

 現在の感染状況について専門家会議は26日、どこで感染したか分からない患者が増えている点などから「まん延の恐れが高い」と指摘した。政府は今後、新設の対策本部を中心に緊急事態宣言の必要性の検討に入る。欧米などは既に各地で外出禁止などの強硬措置を取っているが、私権制限を伴うだけに社会、経済への影響を十分考慮した慎重な判断を求めたい。

 安倍晋三首相は20日、小中高校の一斉休校要請の延長見送りを決め、24日には萩生田光一文部科学相が新学期からの学校再開へ向けた指針を発表している。その際、爆発的患者急増が起きた場合改めて休校要請する可能性もあるとしていたが、早くも翌日に都が「重大局面」と表明。学校現場はまた休校か再開か難しい判断を迫られる。前例のない事態とはいえ、政府の状況分析、判断が甘くなかったか早急に検証すべきだ。

 都知事の25日の会見後、都内のスーパーには食料などを買う人が殺到した。政府は一夜明けてから生活必需品の流通は問題ないと沈静化を図った。危機克服への協力を求めるなら、生活情報も不断に提供し、国民が冷静に行動できるようにしてほしい。

 東京五輪が来夏に延び、時間に余裕ができたと気を緩めてはいけない。行楽や門出の季節であるここで踏みとどまらなければ、感染の長期化で1年後の開催にも暗雲が漂いかねない、と心すべきだ。

2020年3月27日 無断転載禁止