「八百屋お七」と成年年齢

 『八百屋お七』の物語は歌舞伎や人形浄瑠璃の題材として知られる。大火で焼け出され、避難先で寺小姓と恋に落ちたお七。火事になれば再び会えると思い、放火したところを捕まって、処刑されたのが1683(天和3)年のきょうとされる▼当時、放火罪は16歳以上が極刑。哀れんだ奉行が罪を軽くしようと「お前はまだ15であろう」と尋ねた。しかし、そんな思いを知らないお七は宮参りの記録まで持ち出し、自分は16歳だと主張したという。もっともお七の年齢は16~18歳まで諸説あり、後付けのエピソードの類いだろう▼年が一つ違うだけで処遇が大きく異なるのが成年年齢。現行は20歳だが、民法改正で、2022年4月1日に18歳へ引き下げられる。わが家の17歳の娘も2年後の4月1日、一つ下の世代と一斉に新成人を迎える。何だか十把(じっぱ)一絡(ひとから)げのようで味気ない▼新成人といっても飲酒や喫煙、競馬・競輪などは従来通り20歳になってから。ただし、女性が結婚できる最低年齢は16歳から18歳に引き上げられる▼もう一つの大きな変化は、ローンを組んだりクレジットカードを作ったりといった契約が、親の同意を得なくてもできること。安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性があり、国は注意を呼び掛ける。冒頭のお七のような情熱はまぶしくもあるが、人に迷惑を掛けない成人に育てるのも親の大事な務めなのだろう。(健)

2020年3月29日 無断転載禁止