飲食店や観光施設、先の見えない戦い続く

 緊急事態宣言の解除により、休業を強いられてきた山陰両県の飲食店や観光施設に営業再開の道が開けた。自粛が解けて客足の戻りを期待する一方、特定警戒都道府県との往来は引き続き制限がかかり、観光業界は県外から広く客を呼び込めない。感染リスクはまだ消えていないとして休業を続ける店もあり、先の見えない長期戦に悲鳴の声が上がる。

 「松江餃子処(ぎょうざどころ) 王さんの餃子伊勢宮店」(松江市伊勢宮町)のオーナー飯島肇さん(65)は一日中、店のテレビにかじりついてニュースを見た。2日前に営業を再開したばかりだが、客足はさっぱり。変化を期待して迎えた夜の営業は以前なら混み合う午後7時前に客はたったの1人だった。「相変わらずだけど、今日を皮切りに少しずつネオンの光が戻るのを待ちたい」と前を向いた。

 解除を受け、日本庭園・由志園(松江市八束町波入)は週明け18日からの再開を決めた。3月上旬に1週間、臨時休園。いったん開園したが、県内で感染者が確認されてから再び休園し、大型連休明けに休みの期間を延長した。門脇豪社長(50)は「開園したくてしょうがなかった」と喜ぶが、移動自粛は続くため、県外向けの集客PRはしたくてもできない。「これまでと異なる営業方針を考える必要がある。感染予防に努めつつ慎重に模索したい」と気を引き締めた。

 再開への一歩を踏み出せない事業者もいる。居酒屋あばれ太鼓(米子市西倉吉町)は、主な客となる学生の来店が見込めないとして、のれんを下ろしたままだった。柏梨田(かしゅうだ)久美子店長(74)は、自身が重症化しやすい高齢者ということもあり「現段階での解除は前向きに捉えられず、怖い」とこぼす。

 解除後も国が利用自粛を呼び掛けているライブハウスの出雲アポロ(出雲市矢野町)は11日から個人のスタジオ練習のみ受け付けているが、利用はまだない。いまだ光が見えない状況に、坂根奨店長(39)は「今夏を越えられるかどうかヤマ場だ」と頭を抱えた。

2020年5月15日 無断転載禁止