対面できないもどかしさ 民生児童委員の活動停滞

電話で高齢者の安否を確認する松江市城西地区民生児童委員協議会の山本陽一郎会長=松江市末次町
 新型コロナウイルス感染症の影響で、ボランティアとして高齢者や子どもを見守る「民生児童委員」の活動に制約が生じている。対面での安否確認や注意喚起が難しくなり、全国一斉の「活動強化週間」(12~18日)の広報活動も停滞。感染拡大を防ぐためにやむを得ないとはいえ、委員たちがやりきれなさを募らせている。

 「電話の声だけでは、気が付けることが少ない。顔が見られないのはもどかしい」。松江市中心部の城西地区民生児童委員協議会の山本陽一郎会長(79)が、担当地域に暮らす約20人の独居高齢者の顔を思い浮かべながら嘆いた。

 委員として見守り活動に励んで30年。対面によって体調の異変や抱える悩みに気付くことができると熟知している。だが、今は受話器越しでしか対応できない日々が続く。

 地区内で1人暮らしをする鹿島昭一さん(79)もその一人で、昨年、股関節の手術を受けたばかり。山本会長の存在を「いつも気にかけてくれる心の支え」と言い表し、「早く事態が収束して会えるようになってほしい」と願う。

 民生児童委員は4月時点で島根県内が1977人、鳥取県内が1423人。それぞれ厚生労働相の委嘱を受け、日常的に地域住民の生活の困りごとに寄り添っている。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ただでさえ住民の不安は高まるが、島根県民生児童委員協議会(県民児協、住田達宣会長)は各委員に電話やメールを中心とした活動を要請せざるを得ず、活動強化週間も自治体の広報誌などの活用を促した。

 実際、松江市内では例年、期間中に29公民館区ごとの地区委員が街頭で広報活動に取り組むが、今年は取りやめた。県民児協も各地の委員に対して対面を避けて見守り活動を続けるよう依頼した。

 6月と7月に浜田、出雲両市で予定した新任委員研修会も秋に延期となる見通しで、県民児協は近く市町村担当者を交えて地域の実情に応じた今後の活動の在り方を協議する。

 住田会長は「地域の安全を守るためにも、何とかして前に進まなければならない。状況を注視しながら、通常の見守り活動の再開につなげていきたい」とした。

2020年5月20日 無断転載禁止