コロナ支援に積極姿勢 資金繰り安定を最優先

山陰合同銀行が設けている新型コロナウイルスに関する融資相談窓口=松江市中原町、同行北支店
 新型コロナウイルスの感染拡大で地域経済が大きな打撃を受ける中、山陰両県に本店を置く3銀行が取引先支援に積極姿勢を見せている。貸し倒れのリスクを負いながら、資金繰りが逼迫(ひっぱく)した企業への融資に迅速に対応。資金面だけでなく、「コロナ時代」を生き抜くための事業支援に注力する。

 山陰合同銀行(松江市魚町)は2021年3月期の業績予想で取引先の業績悪化や倒産に備える与信費用を61億円計上した。20年3月期に発生した大口の不良債権処理分を除けば、実質的に53億円の増加となる。

 地域経済の見通しは厳しく、それだけ利益を押し下げることになるが、石丸文男頭取は決算会見で「取引先の資金繰りを安定させるのが最優先」と強調。

 同様に、鳥取銀行(鳥取市永楽温泉町)の平井耕司頭取は21年3月期の与信費用が前期を超える可能性に触れた上で「利益も大事だが、今はとにかく企業を支える」と力を込めた。

 制度融資を含む新型コロナ対策資金の融資実行額は7日時点で、山陰合銀が463件の116億円、鳥銀が196件の46億円に上る。島根銀行(松江市朝日町)も5億円以上を実行しており、鈴木良夫頭取は「資金繰り支援を中心にできることは何でもやる」と覚悟を示した。

 島銀は取引先に対し、必要な助成金、補助金を診断し、申請までを支援する無料サービスを近く始める。さらに6月の機構改革で組織を一部見直して新型コロナの影響を受けた中小企業向け支援を強化するなど多角的に対策を打つ。

 鳥銀も融資対応に加え、4月に新設した、M&A(合併・買収)やビジネスマッチングなどを手掛ける「法人コンサルティング部」への相談がコロナ禍で増えるとにらみ、増員を検討している。

 新型コロナという未曽有の事態に直面し、金融機関もこれまでとは異なる支援対応が求められる。

 山陰合銀の石丸頭取は「(ウイルスと共存する)『ウィズコロナ』への社会変化に企業が対応し、生き残るための支援が必要」と指摘する。

 同行は4月中旬、部横断の「新型コロナ事業支援チーム」を設置。例えば団体旅行がこの先一段と厳しくなる旅館に、IT企業と連携したネットでの個人向け営業展開を提案するなど、経営全般のコンサルティングに力を入れる方針だ。

2020年5月20日 無断転載禁止