「大宮炭」萩原珈琲に供給 日南・炭焼き同好会

萩原珈琲の炭火焙煎工場に向け、発送準備に追われる大宮炭焼き同好会メンバー
 たたら製鉄で栄えた鳥取県日南町大宮地区の住民グループが復活させた「幻の大宮炭」が、炭火焙煎(ばいせん)コーヒーで有名な創業92年の老舗、萩原珈琲(神戸市灘区、萩原孝治郎社長)に供給されることになった。輸入に頼っていた木炭の国産化にかじを切る同社が、白羽の矢を立てた。21日、初荷の約140キロを神戸市内の焙煎工場へ発送した日南町は、近く双方で協定を結び、大宮炭のブランド化を目指す。

 大正期まで吉鈩(よしたたら)製鉄所が操業していた大宮地区は、名刀の数々を世に出した印賀鋼(いんがはがね)の里。鋼産出を下支えした木炭産業は戦後も続き、50年代の年間生産量は6万俵(炭1俵約15キロ)にも及んだが、燃料革命を機に衰退し消滅した。

 火持ちの良さに秀でた大宮炭復活は、4年前に地元有志11人で発足した「大宮炭焼き同好会」(古都(ふるいち)純孝代表)が模索。旧小学校校庭跡に昔ながらの黒炭窯を作り、試行錯誤の末にナラを使った幻の炭の生産に乗り出した。

 今回の供給は、コーヒー豆をいる炭火の国産化を打ち出した4代目の萩原英治・同社代表取締役マネジャーが今春、母親の千尋専務の出身地である同町に打診して実現。関係者によると、大宮炭は炭火から発生する遠赤外線などの効果で豆が内部から加熱され、独特の香りとコクを引き出す焙煎に適し、外国産・備長炭との併用が可能という。

 21日は同町印賀の作業所で同好会員が発送準備を行い、一定の長さに切った大宮炭を箱詰め。町農林課が用意した「新型コロナに負けない!」と連帯を呼び掛けるメッセージも添えた。今度も定期的に発送する。

 古都代表(75)は「炭材の確保が難しくなっているが、大口需要先が見つかり、活動に弾みがつく」。販売担当の西村幸治さん(65)や生産現場を主導する加藤信貴さん(47)は「取引を機に炭焼き文化を受け継ぎ、全国に発信したい」と意気込んだ。

2020年5月23日 無断転載禁止