経済支える誇り胸に 配送先の対応変化に当惑も

消毒液でハンドルを除菌する山本浩司さん=松江市東津田町、山陰福山通運松江支店
 ひっきりなしに大型トラックが出入りする山陰福山通運松江支店(松江市東津田町)。支店に勤務するドライバーは97人。松江市内で新型コロナウイルスの感染者が確認された4月9日以降、誰もが配送先での対応の変化を感じている。

 ベテランドライバーで総合班長の山本浩司さん(50)は「受け取りの際にサインしてもらえなくなった。そもそも伝票に触ってもらえない。携帯端末でもサインできるが、同じです」と表情を曇らせる。

 市内で1日50~60件の荷物を運ぶ。配達先の希望で玄関先に荷物を置く「置き配」は3月下旬から増え始めた。4月中旬になると、本来は必要な伝票の受け取りやサインを避ける人が半数近くになった。

 「広まれば、サインできないのは仕方がない」と納得している。だが、まれに「菌を持っている」「コロナがきた」との言葉を浴びせられた時は、心が折れそうになった。

 遠くから送られた荷物にウイルスが付着していると思い込む人もいるという。ハンドルや座席回りといったできる限りの消毒はしているが、あちこちから無数に届く荷物の一つ一つまでには手が回らない。

 間もなく熱中症の時期となる。小まめに体を動かす作業にマスクの着用は息苦しいが、配送先からは「マスクをしてほしい」という強い要望があり、外すわけにはいかない。

 長距離ドライバーもコロナの影響を受ける。岡山県貨物運送松江支店(松江市富士見町)では、熊本から栃木までの72支店にある仮眠室の使用を自粛した。松江支店の35人のドライバーは車内で休憩する。高光孝支店長(67)は「車内ではしっかり休めないだろう」と嘆く。

 山本さんが言う。

 「運送業者は日本の経済を支えている。その誇りで仕事をしている」

 緊急事態でも通常勤務を続け、人々の暮らしを守る「エッセンシャル・ワーカー」としての使命感。「あんたたちがいないと商売できないよ」という顧客の声を耳にとどめ、ハンドルを握る。

2020年6月1日 無断転載禁止