コロナ禍と学校再開/焦らず徐々に進めたい

 緊急事態宣言の全面解除で、休校が約3カ月に及んだ首都圏も含めて全国で学校が再開した。新型コロナウイルス感染拡大の第2波に警戒しつつ、学級ごとなどの分散登校をする地域も多い。学習の遅れの回復は容易でないが、焦りは禁物だ。ついていけない子が出ないよう徐々に学校運営を進めてほしい。

 子どもたちは長い休校で不安やストレスを抱えている。ゲームや動画漬けだった子も多い。まずは生活リズムを取り戻すことが大切。不登校が増える心配もあるが、無理に登校させると逆効果の恐れもある。学級担任と養護教諭、スクールカウンセラーらが協力して手厚く対応したい。

 心配なのは心の問題だ。毎年、夏休みが終わる前後には自殺する子が増える。同じことが起きないよう目配りしたい。変わった様子の子はいないか。いじめが起きていないか。虐待を受けていないか。教員は大変だが、子どもたちをよく見てもらいたい。

 感染を防ぎながら、学習の遅れをどう取り戻すか。消毒や検温をし、席の間隔を空ける。こまめに換気する。マスクの着用では熱中症に気をつけてほしい。公立小中学校の普通教室の冷房化率は約8割。ただ、自治体間の差が大きい。夏休みも授業をするなら、国が責任を持ってエアコンを設置するべきだ。

 長期休暇を削って土曜授業をし、行事も減らせば、何とかカリキュラムを年度内に終われるだろうか。無理に詰め込むと、子どもの負担が大きくなる。まずは基礎の定着が重要だ。算数や数学のような積み上げ型学習は、飛ばしながらは難しいものの、めりはりをつけて工夫したい。

 文部科学省は家庭学習を成績評価に活用でき、学力がつけば授業で扱わなくていいとした。ただドリルを宿題にしただけでやったことにするのでは困る。最終学年以外は学習内容を次年度以降に持ち越せる。じっくり行こう。

 文科省は小6や中3を優先する分散登校の案も通知。少人数授業ができるように教員3100人を追加配置する。学習指導や事務作業などの人手も増やす。勉強の遅れた子への手当ても必要だ。個別指導の態勢を組めるよう配置を急ぎたい。

 第2波に備えてオンライン授業の準備も要る。まだ私立を中心に一部しか実施できていない。政府は1人1台のパソコン配備を前倒しするという。使い方を教える支援者の確保も急務だ。

 入試への影響は深刻だ。日程を遅らせる検討や選抜方法の工夫を急ぐ必要がある。文科省は学習指導要領で割愛していい項目を示し、出題範囲を絞れるようにするべきだ。早めに公表し、受験生の不安を拭い去りたい。

 急浮上した「9月入学」が当面見送られる見通しになったのは幸いだ。混乱を広げる恐れがあり、今は先にやることがある。

 北九州市では第2波とみられる感染拡大で小中学生が感染。4校が休校したが、市教委は市立学校全体の休校は検討していない。政府の専門家会議は「子どもは感染拡大の役割をほとんど果たしていない」との見解を示し、「学習の機会を保障することも重要」と提言した。対策は大事だが、休校の範囲を広げすぎないようにしたい。学びを止めない努力が欠かせない。

2020年6月2日 無断転載禁止