傍聴自粛解除でネット中継を取りやめ 米子市議会委

本会議場で開催された米子市議会総務政策委員会。「委員会」のネット中継を巡る行方が注目されている
 鳥取県米子市議会が6月定例会から、新型コロナウイルスに伴う傍聴自粛の代替手段として実施していた、委員会のインターネット中継(録画配信も対応)を取りやめた。傍聴自粛の解除に伴う措置で「コロナ前」の状態に戻った格好だ。ただ、市民有志は継続を求める陳情書を提出し、再考を迫る。コロナ禍を機に議会は変わるのか-。

 「『見える化』することで議論が分かる。市民が市政を自分事として考え、行動するきっかけになる」。23日の市議会議会運営委員会。委員会中継を求める陳情書を提出し、参考人として意見を述べた市民有志代表の新田ひとみさん(70)=同市錦町1丁目=は「傍聴できない市民のためにも継続をお願いしたい」と訴えた。

 議運は賛成多数で陳情を採択。30日の6月定例会最終日の本会議で採決され、議会として最終的な結論が出される。市民93人を含む賛同者169人分の署名簿も提出した新田さんは「普段の傍聴は4、5人程度。中継すればもっと増える」と復活を期待した。

 そもそも、一時実施した委員会中継は新型コロナの感染防止のため、市民に議会の傍聴自粛を求めたことに伴ういわば「補完的な措置」だった。

 傍聴自粛解除と委員会中継継続の可否を協議した6月4日の議運。「そのままネット中継というのもあり得る判断ではないか」との声が上がったものの、「通常に戻していきたい」との意見が大勢を占め、11日開会の6月定例会から実施しないことを決めた。

 約1カ月間で実際に中継されたのは、4日間計6委員会だった。

 実は委員会中継ができたのはコロナ禍の特殊事情がある。「3密」回避のため、通常は委員会室で開催する委員会の会場を、中継機器を導入済みで広い本会議場に移したため実現した。

 陳情は、委員会が現在も本会議場で開催されている点を重視し、中継の継続を求める内容。このため、趣旨通りに中継が復活しても、会場が委員会室に戻れば終了する可能性がある。

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 ただ、委員会中継は、実現を求める陳情が2018年7月定例会に出され、議会として「趣旨採択」した経緯がある。それから2年。なぜ、急場しのぎでしか実現できないのか。課題はコストだ。

 議会事務局によると、4日間あった委員会中継で、配信業務の委託費用として24万円がかかった。委員会室に本会議場並みの機器を導入した場合、機器費だけで1千万円程度が必要という。

 今回、一時実施であらためて注目され、陳情を提出する動きが起きた委員会中継。視聴数など市民ニーズと比べ、コストが妥当なのか。低廉なコストで中継できないのか。検証と議論が欠かせない。

 渡辺穣爾議長は「(比較的手軽な)ユーチューブでのライブ配信や音声のみの配信、議事録の速やかな公開といった方法も考えられる」とした上で、「いろいろなやり方を検討し、年内にも結論を出したい」としている。

2020年6月26日 無断転載禁止