癒やしの場であり続けたい 巨大迷路給付金で持ち直す

豊かな自然に囲まれた巨大迷路「ドラゴンメイズ」を見下ろす田中隆理事長=雲南市大東町上佐世、心の駅陽だまりの丘
 「ぴしゃっと人の動きが止まってしまった」

 1987年の開業から一時中断した時期もあったが、今なお人気施設として島根県雲南市の名物となっている巨大迷路「ドラゴンメイズ」。同市大東町上佐世のレジャー施設「心の駅陽だまりの丘」は、3万5千平方メートルの敷地に迷路や季節の花々が咲き誇る庭園がある。施設を運営する一般社団法人の田中隆理事長(77)は「コロナなんてどこ吹く風、よそ事だと思っていた」と振り返る。

 松江市内で初の感染者が確認された4月9日以降、こつぜんと人影が消えた。600種類のツバキが楽しめる「椿まつり」の期間中だったが、待てど暮らせど人が来ない。例年、同月下旬から5月の大型連休中に押し寄せる約1万5千人の来場者を施設運営の当てにしていたため、事業の継続に赤信号がともった。

 「固定費や人件費を支払おうにも金がない。どげしゃええだ」

 これまで借金なしに自力で運営してきたことを自負していた。危機感が募り、市商工会のもとへ駆け込んだ。5月の連休中だったが、職員が丁寧に相談に応じた。申請を指南され、月末には200万円の持続化給付金を手にし、10年返済の長期借入金1千万円も受けることができた。

 「人類最大の脅威を、ご当地ヒーローに退治してもらいたい」

 まずはコロナ封じと世界平和を祈念し、ヤマタノオロチ神話が息づく土地にちなんでオロチをイメージした一式飾り(高さ3メートル)を建立。工費に同給付金を充て、6月6日に入魂式を行った。

 願いが届いたのか、6月中旬から天気に恵まれた週末には約300人の来場者が戻ってきた。「営業しているか」という問い合わせの電話も相次ぎ、新型コロナ以前の日常が戻りつつあると、手応えを感じる。

 もともとは地域の福祉拠点として開所し、20周年を迎えた施設に降りかかった難局。3年前から夏に実施する「ひまわり迷路」を、今年は断念するつもりでいたが、継続を決意した。県内外のドラゴンメイズ挑戦者に種をまいてもらい、伸びてきた芽が夏のオープンを待ち望んでいる。

 暇を出していた有償ボランティアも呼び戻し、ともに庭園の手入れに汗を流している。

 「きれいな空気の中で楽しく遊べる、癒やしのテーマパークであり続けたい」

 第2波を警戒しつつも、信念は揺るがない。

2020年7月1日 無断転載禁止