ふるさと納税訴訟判決/不毛な対立に終止符を

 ふるさと納税の新制度から除外された大阪府泉佐野市が国に除外決定の取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は請求を棄却した大阪高裁判決を破棄し、除外決定を取り消した。返礼品を巡る法規制が始まる昨年6月以前に市が国の基準に従わず、ギフト券贈呈などで多額の寄付を集めたことを理由とした決定が適法かが争われた。

 国側は過去の実績を判断材料とすることには合理性があると主張したが、最高裁は新制度が始まる以前の寄付金の集め方を問題にしたのは違法とし、除外処分は無効と判断。新制度参加要件を示した告示のうち、過去の実績に基づく除外ルールを違法、無効とした。

 ただ寄付集めを巡り懲罰的に特別交付税を減額したのは違法として市が国に減額取り消しを求めた訴訟もあり、対立はなおも続く。確かに市による寄付の”荒稼ぎ”は、生まれ故郷などを応援するという、ふるさと納税制度の趣旨をゆがめかねない。とはいえ、言うことを聞かない自治体には容赦しないという国の姿勢には疑問がある。

 国と地方が「上下・主従」の関係だった時代に逆戻りしたかのようにも映り、地方分権が停滞しかねないとの懸念が広がりつつある。国は「対等・協力」の立場で市と話し合い、制裁と反発を繰り返す不毛な対立に終止符を打ち、制度の立て直しに取り組むべきだ。

 なぜ、こうまで、こじれてしまったのか。2008年創設のふるさと納税制度で、返礼品にする地場産品に乏しい泉佐野市は、肉やカニ、米などで寄付額を伸ばした自治体に大きく後れを取り、地元の関西空港に拠点を置く格安航空会社(LCC)の航空券購入に使えるポイントやネット通販大手のギフト券を目玉に巻き返しを図った。

 その結果、17年度に135億円、18年度497億円を集め、2年連続で全国トップとなった。

 すると総務省は本格的な返礼品規制に乗り出し、返礼品について17年4月に「調達費は寄付額の3割以下」、18年4月に「地場産品に限る」とする基準を設け通知した。市は「一方的な押し付け」と反発。「地場産品規制で自治体間に格差が生じる」とし「自治体や有識者らを交え議論すべきだ」と訴えた。

 だが総務省は耳を貸さず、交付税を減額し、基準に適合する自治体だけを参加させる新制度から市を除外。市は新制度移行前、返礼品にギフト券を上乗せして駆け込みで多額の寄付を集め、対抗する姿勢をむき出しにした。その後、国地方係争処理委員会が除外決定の再検討を勧告したが、総務省は応じなかった。

 市のやり方は目に余るが、税収の奪い合いをここまで過熱させた責任の一端は国にもある。15年に減税対象となる寄付の上限を2倍にし、お得感を強調する一方で、返礼品競争への対応は後手に回った。制度設計が甘かったことも否めない。

 返礼品に限らず、高所得者ほど得をする仕組みや、ランキング形式で返礼品を紹介する仲介サイトの問題など、制度は多くの課題を抱える。大都市に集中する税収の一部を高齢化や財政難で疲弊する地方に振り向けるという制度の役割に異論はない。立て直しに向けて国は一方的に地方を従わせようとするのではなく、不満や批判を吸い上げ協力して知恵を出し合うことが求められよう。

2020年7月1日 無断転載禁止