腕の見せどころ

 9日は敗れたものの、将棋の棋聖戦5番勝負で2勝1敗とし、最年少となる17歳11カ月での戴冠に王手をかけている藤井聡太七段。幼少時代、近所の高齢者施設で入所者と対局し「はやくおじいさんになって、いっぱい将棋が指したい」と話したという。ほほ笑ましい逸話だ▼新聞の連載記事をまとめた書籍『頂へ-藤井聡太を生んだもの』(中日新聞社)で知った。藤井七段は愛知県瀬戸市出身。地元紙ならではの細やかな取材の蓄積が詰まっている▼この本を含め、全国の地方新聞計28社が発行した書籍を一堂に集めた「ふるさとブックフェア」が29日まで、松江市田和山町の今井書店グループセンター店で開かれている。『イージス・アショアを追う』(秋田魁新報社)といった直近の社会問題を扱った作品や、歴史・文化、自然をテーマにした連載に至るまで個性があふれている▼フェアの記念イベントとして、きのう会場であったトークイベントで講師を務めた。テーマは当欄にちなんだ「『明窓』のこぼれ話」。コラムの題材の決め方や構成の手法などを披露したが、楽しんでいただけただろうか▼現在執筆陣は14人。重複しないよう事前調整しているものの、テーマは自由だ。地方紙の書籍と同様、個性の競演でもある。どうやって読者の関心を引くかが腕の見せどころ。時に大胆な指し手でファンを魅了する17歳の天才棋士には負けられない。(健)

2020年7月13日 無断転載禁止