トイレの神様

 せきやくしゃみなど飛沫(ひまつ)感染に注意が集中し、案外見落とされがちなのが排せつ物-。新型コロナウイルスの感染について、感染症専門家の岩崎恵美子医師がこんな注意を呼び掛けている。浜田市で開かれた本社主催の石見政経懇話会で訴えた▼新型コロナは飛沫と接触によって感染するが、テレビをはじめメディアでは、特殊カメラを使い、くしゃみによってウイルスがどこまで飛ぶかなど過剰なまでに飛沫の恐怖をあおっている、という。飛沫に含まれたウイルスは空気によって薄められるため、換気をしっかり行えばある程度防げるが、どのメディアも意識的にかどうか、感染者の便の危険性には触れたがらないと指摘する▼用を足してお尻を拭くときに便に混じったウイルスはトイレットペーパーをすり抜け手に付着。その手でドアノブなどを触ると次に触った人へ-。その連鎖を断ち切るためにも「ぜひ、小まめな手洗いを」▼こう書きながら、尾籠な話で読者に不快感を与えているのでは、と当方もどこか気後れする。しかし「米国人は、日本人ほど小まめに手を洗いません」との岩崎医師の一言で気が楽になった▼感染者が日本の150倍の300万人以上と世界断トツの米国で手洗い習慣は、日本と比べ随分、手抜きされているらしい。マスクを嫌い、手洗いも面倒くさがる米国人。トイレの神様が彼我のきれい好きを見つめている。(前)

2020年7月14日 無断転載禁止