核廃絶願うタペストリー 松江で展示

新作のタペストリーに込めた思いを話す西尾幸子さん(右)=松江市朝日町、松江テルサ
 広島市出身で、戦争の語り部をしながら平和や核兵器廃絶を願うタペストリーを制作する西尾幸子さん(88)=松江市比津が丘4丁目=が、戦後75年の今年、新作を完成させた。新型コロナウイルスの影響で思うように語り部の活動ができず、もどかしい日々だが「亡くなった友人たちの無念さを、私が伝え続けなければならない」と意を新たにしている。

 1945年8月6日の広島原爆投下時、13歳だった西尾さんは、母の実家がある安来市に疎開し無事だったが、広島第一高等女学校(現県立広島皆実高校)の同級生223人が犠牲になった。

 友人たちの無念さを伝える使命感から、学校や地域で戦争体験を語るほか、95年から1メートル四方のタペストリーを作り、市内外で展示する。

 6作目となる新作は、青地の布に銀色の星を並べ「地平線の先に核兵器のない世界が見えています」とのメッセージを大きく記した。2010年に国連事務総長だった潘基文(バンキムン)氏が、核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説した際の言葉で、絶対に作品にしようと構想を温めていた。

 高齢で針仕事は年々困難になる。語り部などの活動も忙しく作業が進まなかったが、4月以降新型コロナの感染拡大で在宅時間が増え、6月に完成することができた。

 国連で被爆者が発言したり、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞するなど、この10年で世界中で核廃絶の運動が進んだと感じる。「新型コロナをきっかけに命の尊厳を考える人も増えたと思う。これからもできる限り平和を訴えていく」と力強く語った。

 タペストリーは松江市朝日町の松江テルサで開催中の原爆のパネル展(原水爆禁止島根県協議会主催)であすも展示する。

2020年7月24日 無断転載禁止