地元で上演、感謝しかない 三刀屋高演劇部 気持ち切り替え稽古

亀尾佳宏教諭の寄せ書きを囲む坪倉茜部長(右端)と部員たち=雲南市三刀屋町三刀屋
 「まさか全国までなくなるとは」「何を目標に…」

 中国大会を制して全国高校総合文化祭(総文祭)の切符を手にしていた島根県立三刀屋高校(雲南市三刀屋町三刀屋)演劇部の21人は衝撃を受けた。高知県内で開かれる予定だった全国大会は新型コロナウイルスの影響で中止となり、各校の演技をネットで公開する形式となった。

 「果たして意味があるのだろうか?」

 最後の夏に活躍するのを夢見て活動してきた坪倉茜部長(17)をはじめ、3年生部員3人は無力感に襲われた。

 ネット上演ではモチベーションが上がらない。アドリブで客席の歓声を得る三刀屋らしい、会場との一体感を創出できない。

 「全国の演技を見る、全国に自分たちを見てもらう」を目標に挑んできただけに落胆した。

 「演劇は演技してなんぼ、見てもらってなんぼ」

 指導する同校掛合分校の亀尾佳宏教諭(46)も普段なら「甘えるな」と一喝するところだが、「生徒たちのせいではない」と悲運を嘆いた。

 今月6日、朗報が文書で届いた。8月中旬に東京都内で全国大会出場校の代替上演会を調整しているという内容だった。

 「大きな舞台で観客に見てもらえる。うれしい」

 喜びが広まった直後、都内で新型コロナの感染者が急増した。学校は部員と保護者の意見をくみながら、断腸の思いで辞退を決めた。その後、上演会自体が中止になった。

 残す公演は8月2日、県民会館である県内高校演劇部の研修会のみ。限られた保護者や部員らが観劇する。研修会で総文祭に出す動画を収録し、集大成を披露する。

 坪倉さんは「地元で終えられて良かった。家族やお世話になった方々の前で演じられる」と気持ちを切り替えた。

 「全国達成」と寄せ書きした看板を練習場に掲げ、稽古に励む。

 「松江で上演できることは感謝しかない。いつも通りにいかない経験をいくつもさせてもらい、視野が広がった。将来みんなで集まって、思い出話がしたい」

 失った物もあったが、得た物の存在が大きかった。

2020年7月27日 無断転載禁止