海水浴場、管理に腐心 閉鎖海岸、安全確保に課題

「会話は控えめに」といった異例の注意書きが掲示された古浦海水浴場=松江市鹿島町古浦
 本格的な海水浴シーズンを前に、海水浴場の関係者が頭を悩ませている。新型コロナウイルスの影響で山陰両県の一部海水浴場は閉鎖を決めた。管理者不在で監視の目がなくなり、海難事故発生の危険性が高まっている。開設される海水浴場に客が集中する恐れもあり、管理者は感染者動向の把握や浜辺での社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保といった、感染対策に細心の注意を払いながらの運営を強いられる。

 今シーズンの海水浴場について第8管区海上保安本部(京都府舞鶴市)のまとめによると、島根県内全28カ所のうち23カ所が開設し、閉鎖4カ所、検討中1カ所となっている。鳥取県内は全11カ所中、開設3カ所、閉鎖8カ所。新型コロナ対策を巡り、管理者によって判断が分かれた。

 エメラルドグリーンの海と砂浜が人気の小波海水浴場(松江市島根町野波)は閉鎖を決めた。例年、小波地区の住民が交代で砂浜やトイレ清掃を受け持ち、駐車料金で収入を得る。同地区の川岡孝二さん(73)は「ごみ拾いやトイレ掃除といった最後の処理で、もしものことがあれば住民が危険にさらされる。仕方がない」と閉鎖の理由を説明した。同地区は管理者のいない砂浜で海難事故が起きないように、駐車場の入り口を封鎖した。

 鳥取市福部町岩戸の岩戸海岸では25日、市内の男子小学生(8)が沖に流された。児童は近くのサーファーに無事救出されたが、鳥取海上保安署の東條英一署長は「恐れていた事態が起きた」と嘆く。同海岸は離岸流があるため、公設の海水浴場から外れており、管理者はいない。東條署長は「安全が確保できる海水浴場を選んでほしい」と訴えるが、この夏は管理者がいない海岸で泳ぐ人が増えるとみて、パトロールを強化する。

 周囲の海水浴場が閉鎖する中、開設を決めた鳥取砂丘海水浴場(鳥取市福部町湯山)を管理する砂丘フレンドの山根弘司社長(60)は「常にジレンマを感じている」と緊張感を持つ。期間中は関西方面から多数の来客が予想される。「8月23日までの予定だが、早期に閉鎖する可能性もある。感染動向を注視し、1週間ごとに方針を見直す」と慎重な運営を心掛ける。

 8月16日まで開設する古浦海水浴場(松江市鹿島町古浦)は、定期的に場内放送でソーシャルディスタンスの確保を広報する。「横並びで座って」「会話は控えめに」といった異例の注意書きを掲示し、感染予防を呼び掛けている。

2020年7月29日 無断転載禁止