荒ぶる神と大蛇躍動! 直江一式飾りの示作品を一新

室内いっぱいに広がる「大蛇(おろち)退治」の作品
 島根県出雲市斐川町の直江地区に伝わる陶器の芸術「直江一式飾り」を継承する地元の保存会が、街道沿いの常設展示作品を10年ぶりに作り替えた。これまでの合戦物から趣向を変え、神話の古里にちなむ「スサノオの大蛇(おろち)退治」。天井からつるされた大蛇が展示場の空間いっぱいに躍動し、剣を手にしたスサノオノミコトと相対している。

 直江一式飾り保存会の約20人が7月23日からの4連休中、同町直江にある一式飾り館で、スケッチを基に大蛇の胴体作り、天井からのつり下げ、陶器の貼り付けをした。

 作業に力が入ったのは作品の交代が10年ぶりというだけではない。本来は「あきばさん」の名称で親しまれ、7月に行われる伝統行事「なおえ夏祭り」に合わせて披露する予定だったものの、コロナウイルスの影響で、地元自治会が一式飾りの出来映えを競う恒例の催しも合わせて中止になった。

 直江一式飾りは約300年前、直江の豪商が出火のおわびに、店の道具で人形を作って近くの東白寺境内にある「秋葉大権現」に奉納したのが始まりとされている。この伝統だけは守っていくとの思いが会員にある。

 作品は幅約5メートル、高さ約2.3メートル。地域の飲食店や窯元を回ってストックした約800枚の陶器を、形や色に応じて針金で縛り付ける。貝殻の形をした皿は大蛇のうろこに、カエルの置物は意外にも使い勝手がとても良く、大蛇の上あごの部分にしっかりはまった。

 保存会の望月敏雄会長(77)は「伝説にふさわしい力強さや荒々しさは表現できたのではないかと思う。斐川の伝統を受け継ぎ発展につなげるきっかけになってほしい」と願っている。

2020年8月6日 無断転載禁止