新規オープン飲食店、やりたいことはたくさんある

こだわりの一杯をふるまう三上慎太郎さん(左)=松江市西川津町、三上珈琲
 島根大(松江市西川津町)近くにあるコーヒー専門店、三上珈琲の三上慎太郎オーナー(35)は6月10日に店をオープンした。

 大和村(現島根県美郷町)出身。島根大を卒業後に上京し、飲食店勤務を経験、調理師免許を取得した。2016年にUターンし、島根県内や広島で開催されるイベントへコーヒー職人として出店を重ね、地域づくりに取り組む団体の調理も引き受けてきた。

 「固定客を持ちたい」という思いから昨年11月、松江市内で空き店舗を見つけて改修した。

 豆の仕入れから焙煎(ばいせん)までを一貫して手掛け、店内ではこだわりの一杯を、落ち着いた雰囲気で楽しんでもらう。夢の一歩を踏み出した直後、コロナ禍に巻き込まれ、早くも窮地に立たされている。

 イベントへの出張営業でまずはコーヒーの味を知ってもらい、店舗へ誘導するという戦略だったが、イベント自体がなくなってしまった。「飲食店は口コミの力が大きい。来てもらえるような広告、宣伝が難しい」と、集客策に頭が痛い。「コロナが落ち着けば、いろいろな豆を試したい。やりたいことはたくさんある」と希望を持つが、「家賃の支払いが苦しい。これから2年は赤字を覚悟している」。

 各種給付金の申請は済んだ。厳しい経営は続くが、足を運んでくれる知人、飛び込み客との出会いが、三上さんの気持ちを支える。

   ■   ■

 かつおだしとスパイスを組み合わせた大阪スパイスカレー専門店「Spice curry cumin(スパイスカリー クミン)」(松江市末次町)は、6月24日にひっそりとオープンを迎えた。

 コロナ禍の最中に客が来るのか-。今岡賢志オーナー(52)は不安が拭えなかった。

 ふたを開けてみると開店初日は50食が完売。その後も客足は堅調という。

 今岡さんは「本当は4月開店の予定だったが、時期をずらした。今から盛り上げていこうというタイミングに合ってよかった」と分析する。外出自粛の反動、7月10日から使用可能になった島根県発行の県民向けプレミアム付き「飲食券」が後押しになったとみる。

 調理を担当する加藤佳珠子さん(52)は「騒ぎが収まれば、地ビールやしまね和牛のPRも一緒にしていきたい」と、あくまで前を向いている。

 駆け出しの飲食店をまどわせ続ける新型コロナ。店主や店員は収束の日が来ることを信じ、営業を続ける。

2020年8月9日 無断転載禁止