山陰両県の宿泊観光、近県が支え 需要確保へプラン続々

山陰両県在住者向け限定プランのチラシを手にする松乃湯のスタッフ=松江市玉湯町玉造
 新型コロナウイルスの影響から再起を目指す山陰両県の宿泊施設で地元や近県客の利用が伸びている。低調だった盆休み期間中も両県を中心とした中国5県の客は増加し、一定の支えとなった。関東や関西からの宿泊は当面伸び悩むとみて、各施設は特別プランを打ち出すなどし、近場の需要掘り起こしに引き続き注力する考えだ。

 玉造温泉の松乃湯(松江市玉湯町玉造)は空室が出る異例の盆だったが、期間(8~15日)中の山陰両県在住者の宿泊は前年同期比で約6割増となった。例年は東京や大阪などが大多数を占めるが、今年は宿泊客の構成比で中国5県の割合が5割を超えた。

 7月中旬から平日限定で両県在住者を対象に通常より約5千円安い1泊2食付き1万1千円の宿泊プランを提供し、利用は好調。国の「Go To トラベル」で東京が除外され期待外れの状況にあって、江副保社長は「限定プランの山陽地区への対象拡大も考えている」と話す。

 「Go To 中国5県」と題した宿泊プランを展開している白石家(松江市玉湯町玉造)も盆期間は同5県の客が多くを占めた。内藤優子社長は「本来なら遠方からの客が早めに予約し、満室になるが、今年はそれが少なく、近場の人が予約しやすかったのでは」とみる。

 島根県内の客が顕著に伸びているのが、金城観光ホテル(浜田市金城町追原)。もともと広島県の客が全体の8割を占めた中、島根県が発行するプレミアム付き宿泊券の利用が後押しし、島根県内客は従来の1割から3割まで上昇している。佐々木健久社長は「県東部から既に数回訪れているリピーターもいて、ありがたい。浜田の特産品などを絡めて、さらに取り込みたい」とコロナ以前の水準への回復に向け知恵を絞る。

 鳥取県の皆生温泉では、皆生つるや(米子市皆生温泉2丁目)が鳥取県内の客に限りガソリン代として1部屋当たり3千円を払い戻すプランを用意し、売り込みを強めている。

 都市圏からの予約の伸びが鈍い中、宇田川英二社長は近県客の取り込みを視野に「在宅勤務などのコロナ疲れを癒やせるようなプランを検討していきたい」と力を込めた。

2020年8月20日 無断転載禁止