音楽トリビア26の秘密 秘密(13)音階の「音」

数字と計算で明らかに

 すごいことに、紀元前(きげんぜん)6世紀には、オクターブの中にある七つの白い鍵盤(けんばん)ドレミファソラシの音と、さらに♯(シャープ)や♭(フラット)の音の出る五つの黒い鍵盤の音、合わせて12の音が全部分かっていたのです。日本ではまだ弥生(やよい)時代、古代ギリシャの哲学者(てつがくしゃ)ピタゴラス(紀元前582年~紀元前496年)が考え付いたというのだから、びっくりですね。

 彼(かれ)の考え方は、全てのことは「数」の法則(ほうそく)に従(したが)っていて、数字と計算によって分かるはずだというものです。

びっくり! ピタゴラスが原理発見

 だから当時の音楽家によって奏(かな)でられていた、五つの音の音階の構成(こうせい)にも「数」の裏付(うらづ)けがあるはずだと思い、弦楽器(げんがっき)で実験を始めたというのです。実験を続けるうちに、音階の音の高さに対応(たいおう)する「数の比(ひ)」があることに確信(かくしん)を持ちます。ついには、音の高さ(振動数(しんどうすう)や周波数(しゅうはすう))と弦の長さの「比」が、「反比例(はんぴれい)」することを発見したのです。

 ここで彼の発見した「原理」、つまり実際(じっさい)の方法ではないのですが、音階の音の作り方を、分かりやすく説明したいと思います。

 何の音でもいいです。一つの音とそのオクターブ上の音を同時に弾(ひ)くと、まるで一つの音のように、音が濁(にご)らずとても安定していると思いませんか。そのときの弦の長さの比が2:1で振動数の比は1:2です。

 次に「ド」と「ソ」を同時に弾いてみましょう。オクターブほどではありませんが、「ド」と「ミ」とか、「ド」と「ラ」より安定した響(ひび)きを感じられますね。このときの弦の長さの比が、3:2で、振動数の比は2:3です。この「ド」と「ソ」の関係を、完全5度といいます。これを白鍵一つ一つの音の間隔(かんかく)を、全音は全、半音は半と書き表すと、次のようになります。ド(全)レ(全)ミ(半)ファ(全)ソです。肝心(かんじん)なことは半音の所が1カ所だけ! ということです。

全ての音求め実験続ける

「レ」を中心とした完全5度の連なり(矢印)による12の音を求め方
 では早速、完全5度の音の間隔で音階を構成する音を作ってみましょう。ここでは「レ」の音を中心として、上下に完全5度の音を求める方法です。上に「レ」↑「ラ」↑「ミ」。下に「レ」↓「ソ」↓「ド」。これを低い音から順番に並(なら)べると、ドレミソラ。当時使われていた五つの音の音階と同じものができたのです。

 彼(かれ)のすごいところは、さらに実験を続け「ミ」↑「シ」、「ド」↓「ファ」を発見し、現在(げんざい)使われている、七つの白い鍵盤全ての音を求めたのです。

音階を構成する12の音の作り方
 さらに、♯の音が出る黒い鍵盤の音も発見してしまうのです。「シ」から完全5度上げるのですが、「ファ」だと、シ(半)ド(全)レ(全)ミ(半)ファとなり、半音が2カ所あるので完全5度になりません。そこで「ファ」を半音上げて「ファ♯」にすれば半音は1カ所となり、無事「ファ♯」の黒い鍵盤が求められました。

 この「ファ♯」から完全5度上げて「ド♯」。そこから完全5度上げて「ソ♯」が求められますね。♭の黒い鍵盤の音を求めるには、「ファ」から完全5度下げれば「シ♭」の黒い鍵盤が求められますね。そこから完全5度下げて「ミ♭」。あら不思議(ふしぎ)、全部で五つの黒い鍵盤の音も求めてしまったのです。 

 (プラバホール芸術監督(げいじゅつかんとく)・長岡愼(ながおかしん))

2020年9月16日 無断転載禁止

こども新聞