紙上講演 ジャーナリスト 鈴木 美勝氏

鈴木 美勝氏
ポスト安倍政治の課題と内外展望

 問われる「国家ビジョン」

 山陰中央新報社の米子境港政経クラブ、島根政経懇話会の定例会が15、16日、米子、松江両市であった。「ポスト安倍政治の課題と内外展望」と題して講演したジャーナリストの鈴木美勝(よしかつ)氏(68)が、菅政権に関し「どのような国家ビジョンを描くかが問われている」と説いた。米子会場の要旨は次の通り。

 近年、日本の政治家が国家ビジョンをまとめて出したことがない。近視眼的な政治家が増えている。

 歴代最長の安倍政権をどう評価するか。「アベノミクス」は出口戦略がなく、結果的に株価だけをつり上げた。一番の問題は「戦後日本外交の総決算」だ。例えば対ロ外交。経済協力により領土問題をもみほぐす戦略だったが挫折した。安倍路線の行き詰まりを認識しないといけない。

 確かに安倍氏の辞任表明で自民党の政党支持率は上がった。ただ、「支持政党なし」の人が支持に移行した「柔らかい支持」で、バブル気味と感じる。菅さん人気も似たようなものだ。

 菅さんにトップリーダーが務まるかどうか。理念や理想、ビジョンを持ちながら現実主義者として対応しなければならないが、菅さんは基本的に理念がない。安保外交と憲法に対する姿勢がはっきりしていないから、国家像が出てこない。

 コロナ禍の世界を前提にどのような国家像をつくるか。常識が変わるニューノーマル(新常態)に即した日本の構想が必要だ。今は給付金など近くにある課題に対応しているが、中長期的に見つめ、地球規模で考えないといけない。

2020年9月17日 無断転載禁止