お任せでいいのか

 テレビのワイドショーを見ていると、毎日毎日よく話題があると感心する。しかも居並ぶコメンテーターが、その話に感想や意見を添える。まるで「テレビ井戸端会議」だが、視聴者は手っ取り早く話題が仕入れられる上に、相づちを打っているだけで分かった気になる▼たとえ「受け売り」でも、忙しい日々の生活を考えると、便利で好都合。読む手間も、自分の頭を煩わせる必要もない。飲食店で「お任せ」のメニューやコースを頼むようなものだ▼調べて、考えて、選ぶ-普段の生活で、その手間が省ければ助かる。ただ、そんな風潮が政治意識にまで及べば、「代議制」の副作用とも言える「お任せ民主主義」に陥り、個別の案件で異論が噴き出す場合がある。単品ではなくコースで選んでいるからだ▼松江市役所の建て替えを巡り市民団体が直接請求した着工延期の是非を問う住民投票の条例案は、市議会で否決された。市民1万4千人余りが「お任せ」では納得できない、と意思表示をしたが、通らなかった▼「何かを選ぶ」ことは「他の何かを切り捨てる」ことだという。右肩上がりの時代と違い、人口減少時代を迎えると、その判断も、より慎重さが求められる。そうだとすれば今回、当事者の市はもちろん、議員も市民向けのコメンテーター役を十分に果たしたのか。また、市民の多くも「お任せ」で良かったのかを問われている。(己)

2020年10月10日 無断転載禁止