ウイルス共存後の社会

 「店内の滞在は15分間です」。スマートフォンを買い替えるため、勤務地に近い東京・銀座の路面店に入ろうとすると、スタッフが頭を下げた。言わずもがな新型コロナウイルス対策の一環。機種は、容量は、と店外で聞き取られ入店後約10分で購入完了。いつもごった返す店内とは打って変わり快適だ▼早いもので4月の緊急事態宣言発令から半年たつ。当時より警戒感が薄れて元の生活に戻っている部分と、「新しい生活様式」が徐々に浸透した部分が混ざり合っている▼咳(せき)エチケットのためマスクは必需品となり、忘れようものなら人の目が怖い。施設入り口での検温や手指消毒も手慣れたもの。その成果か、都内のインフルエンザ感染者は8月末から10月中旬までで1人だったらしい▼電車も店も人が多く、便利ながらストレスもかさむ東京だが、皮肉なことにコロナ禍で少しばかり住みやすくなった。電車は以前より空き、映画館の座席は間隔が取られ快適。小売店で店員から声を掛けられることも減った▼だが、それはのんきな話。経済を中心に打撃は深刻で、さらなる悪化も予想される。1年前には想像していなかった世の中。ウイルスと共存する生活に順応しつつ、その先の不安がむしろ膨らむ。混乱が続く今年。気は早いが来年以降どんな年になるか考える人も多いだろう。希望はある、どんな時も。そう信じて残り2カ月を過ごそう。(築)

2020年10月17日 無断転載禁止