続・ペンと乳(12) 名もなき育児

大変さ語れる夫婦でいたい

 数年前に生まれた「名もなき家事」という言葉が主婦(夫)らの共感を呼び、話題となった。「料理」や「洗濯」といった名前はなく、地味で目立たないけれど、必要不可欠な家事の総称。例えば「料理」の裏に潜んでいる食材の買い出しや献立決め、冷蔵庫内の食材把握などだ。

 育児にも同じように「名もなき育児」が存在すると感じている。「おむつ替え」なら「汚れたおむつを新しいのに取り替える。以上」ではだめなのだ。「何時間前に替えたか」「おしっこの量は少なくないか」を確認し、お尻がかぶれていたら薬を塗る。うんちの場合は形状や色、今日何回目か、または何日ぶりか、などを記録。便をトイレに流し、おむつごみは臭わないよう袋に入れてぎゅっと縛る、などといった一連の処理。

 おむつの在庫管理も大事だ。あと何枚でなくなる、サイズは合っているか、次からは一つ大きいサイズを買うかの判断、どのメーカーにするか…など、考える事は山ほどある。子が2人になり、こういった仕事は単純に2倍になった。2人の排せつ状況はしっかり把握しているのに、自分の便秘はよく分からなくなる。

 保育所に通っていると、連絡ノートの記入という作業もある。前夜と朝の食事内容、就寝・起床時間、排せつの有無と回数など、記入項目は多数。コロナ対策のため休日も含めた朝夜2度の検温もある。

 ほかにも爪切りや鼻水の吸引、薬を飲ませることや、予防接種の予約、定期健診の予定把握。子どもの体にまつわる観察や作業に結構な時間を割いているのに、達成感があるわけでもない。「これが大変!」と簡潔に説明しづらく、それが日々のモヤモヤを誘発しているのかも…。

 だからこそ、子育て中の友人とこういった地味な大変さを分かち合えると無性にうれしく、ほっとする。独り相撲ではむなしさが募る。共有できたり、ねぎらってくれたりする人がいるだけで報われる。その相手が夫だとなお心強い。「名もなき育児」の大変さを、さらっと語れる夫婦でいたい。

2020年10月17日 無断転載禁止