自殺者が夏以降増加 コロナ疲れの影響か

 今夏以降、全国で自殺者が急増している。警察庁の調べ(速報値)によると、上半期(1~6月)は前年同期を下回っていたが、7月に反転し、8月と9月はさらに増加している。山陰両県でも一部で同様の傾向があり、専門家は「新型コロナウイルスの影響を考慮せざるを得ない」と指摘。生活の変化によるストレスの反動が出た恐れがあり、精神的なケアが重要だと警鐘を鳴らしている。

 警察庁によると全国の自殺者は、7月に1818人(前年同月比25人増)と増加に転じ、8月には1854人(同251人増)、9月は1805人(同143人増)となった。山陰両県では9月、島根で16人(同11人増)、鳥取9人(同8人増)と増加が顕著になった。

 島根大人間科学部の高橋悟准教授(臨床心理学)は「あぜんとしている」と驚く。詳細な分析は難しいとしたが、経済情勢や人との交流を一変させた新型コロナの影響を踏まえ「『我慢の限界』が現れていると想像できる」と強調する。

 身体不調が長引く▽酒量が増す▽仕事の負担の急増や失職▽本人にとって価値あるもの(職、地位、家族、財産)を失う-といった厚生労働省の「自殺予防の十カ条」を引き合いに出し、「該当する危険因子を誘発しやすい環境にある」と指摘する。その上で「家庭や組織が個人に配慮し、異常を感じた人は早めに公的な相談窓口や医療機関を頼ってほしい」と話している。

2020年10月18日 無断転載禁止