新型コロナと大学教育/地域とのつながり再認識

島根県立大学学長代行 山下 一也

 新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の大学・短大で4月以降、オンライン授業(遠隔授業)をせざるを得ない状況が続いている。そんな中、今年7月には島根県立大出雲キャンパスの学生が新型コロナウイルスに感染したことが判明し、県と保健所には約600人の学生・教職員へのPCR検査実施の対応とキャンパス内の消毒や指導があり、大変感謝している。

 文部科学省の調査によると、大半の大学が何らかの形で後期から対面授業を再開する方針に転換しつつあるが、全て対面で進めるのは短大を含め全体の19%のみで、残りの多くは対面授業とオンライン授業を併用している。

 県立大でも、県から施設整備を受け、密の回避をして感染予防を念頭に置きながら、オンライン授業との併用が主にはなるが、対面授業も少しずつ増やしている。

 大都市周辺の大規模な大学は、感染状況から現在でも構内立ち入り禁止など慎重な対応を取っているが、本学のような小規模の地方大学は状況に併せて柔軟な対応があってもいいと思う。学生も長引くコロナ禍で感染への恐怖や制限の多い日常に孤独感やストレスが増大している。本学では担任がオンラインで学生面談を再三再四、行うようにしている。一方で、大学の役割はただ授業を受けるだけの場ではなく、サークル活動、ボランティア活動などを通じて友人、同級生や地域の人とのさまざまな出会いや感動の生まれる場でもある。本学でも感染予防に十分に留意しながら、なるべく大学に集まるような方策を考えている。

 例えば、教職員と学生合同の鬼ごっこ大会、新型コロナ感染予防の標語募集、カレーの日を企画して、感染予防対策を学生に教えながら、この機にさまざまな対面を積極的に行っている。

 この間、新型コロナ感染拡大防止のために学生へは、居酒屋・カラオケ店などでのアルバイト自粛を要請したため、困窮が深刻になった。地域や企業、社会福祉協議会、ロータリークラブなどから多額の寄付金をいただいた。この寄付金を学生の生活費給付やアクリルパネル設置といった感染予防対策事業に充て、困窮学生の学業の継続を行うことができた。学生にとって寄付金と、地元やJAなどからいただいたお米の一粒一粒のありがたさはおそらく一生忘れないのではないかと思う。

 ウイルスは人が運ぶのであり、今春の緊急事態宣言下のように人と人との接触を断てば、この新型コロナウイルス感染症は若干収束するものの、長期戦が予想される。今後、「ウィズコロナ」と言われるように、感染防止対策を十分にして、対面授業・オンライン授業を継続しながら新しい大学運営を行っていく必要がある。言い換えれば、既成の大学の概念からしっかり脱皮できるのか、現在全国の大学に試されている。

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 やました・かずや 医学博士、専門分野は神経内科、神経心理学。島根医科大学医学部卒業後、1991年にカリフォルニア大学デービス校神経科研究員として留学。94年から津和野共存病院院長、その後、島根県立大学出雲キャンパス副学長などを経て、2019年4月から島根県立大学学長代行。

2020年10月18日 無断転載禁止