スペイン風邪 当時の新聞記事データベース化 鳥取県立公文書館

県内でのスペイン風邪の猛威を伝える1918年11月11日付の因伯時報の記事コピー(県立図書館所蔵)
 新型コロナウイルス禍で、県立公文書館が約100年前に世界中で流行したインフルエンザの一種「スペイン風邪」に関する新聞記事をデータベース(DB)化した。県ホームページから無料で公開し、当時の県内での感染状況や住民の様子を鮮明に伝え、新型コロナ対策に役立ててもらう。同館によると、スペイン風邪の新聞記事DB化は全国で初めてという。

 内務省衛生局編の「流行性感冒」(1922年)によると、スペイン風邪(流行性感冒)により世界で2千万~5千万人の死者が出たとみられ、日本でも約2380万人が感染し、死者は約39万人だったとされる。

 新型コロナの世界流行で、過去に同じように流行したスペイン風邪にも注目が集まった。同館には4月ごろから市町村の担当者から当時の対応を記録する史料について問い合わせが寄せられたため、最も詳細に当時の様子が記録された新聞のDB化に踏み切った。9月28日にインターネットで公開した。

 DBには、1918~20年の「因伯時報」、「鳥取新報」、「大阪朝日新聞(山陰版)」の記事を計980件収録。記事の見出しや内容の要約文、関係する現市町村名も掲載した。

 18年11月11日付の因伯時報では「流行性悪性感冒何時終息する 市内の淋(さび)しさお話にならず」と記事では、感染者は鳥取市内の師範学校宿舎内の仮別室に収容され生徒が看護に当たったが、感染者が多く市内の病院に入院できなかった事態を報じる。

 同月17日付の同紙では、内科医の談話で死亡率が高かった原因として医師の診察が行き届かなかったことを挙げ、診察が追いつかず、症状が悪化した人が多かったと指摘するなど、医療提供体制に課題が浮上した新型コロナとの共通点もうかがい知れる。

 同館の田中健一館長は「過去の記録からどのように対応したかを学び、新型コロナの対策にも生かしてほしい」と話した。

2020年10月20日 無断転載禁止